( ^ω^)ブーンが特殊部隊になったようです
2 名前:642 :2006/08/17(木) 19:24:13.29 ID:Hbub/psI0
chapter6.暗夜

―――作戦本部―――

「メーデー!メーデー!ゴルフ12墜落する!」

Mayday―――フランス語で「助けて」を意味するm'aiderをその起源とする救難信号は、ランリッツベルグ北西の空軍基地、
その一室に設けられた作戦本部に届いていた。
ベテランのギコがその信号を発するからには、事態は相当深刻であろうことは明らかだった。

「衝撃に備えろ!!」

墜落する直前の、悲しくもお決まりな言葉。その後に続く衝撃音。
そして、無線機の向こう側からは何も聞こえなくなった。

3 名前:642 :2006/08/17(木) 19:26:54.11 ID:Hbub/psI0

ξ゚听)ξ「ゴルフ12・・・・・・ギコのブラックホークが墜落しました」

はたして無線機の向こう側はどうなったのか。誰の脳裏に浮かぶことも同じだった。
オペレーターとして、ツンは事態をありのままに言うしかない。
視線を落とし、唇を噛む。彼女もチームVIPの一員であり、作戦地域に同行するときは、よくギコの世話になっていた。
そのギコのヘリが落とされた。思わず悲鳴を上げ、涙を零したい衝動に駆られる。だがそこは耐えねばならない。
今自分に出来ることは、もう起きてしまったことへの対処を的確かつ確実に伝えることなのだ。

/ ,' 3「・・・・・・」

この作戦を指揮する荒巻は黙っていた。呆然となったわけではなく、拳を顔の前で組み、しっかりと前を見据えていた。
そして、ゆっくりと口を開いた。

4 名前:642 :2006/08/17(木) 19:28:20.08 ID:Hbub/psI0

/ ,' 3「・・・オスカー23に繋いでくれ」

ξ゚听)ξ「はい」

ツンが、荒巻の傍にあるマイクと、リトルバードの間を中継する。
リトルバードは作戦地域一帯を哨戒飛行していた。

「・・・こちらオスカー23。感度良好」

/ ,' 3「オスカー23、ゴルフ12の墜落を見たか?」

やや遅れて返事が返ってくる。

「・・・見ました。どうやらミサイルでやられたようです」

/ ,' 3「墜落地点を確認してくれ」

「・・・了解。現在捜索中です。」

それから1分ほどして、リトルバードから通信が入る。

5 名前:642 :2006/08/17(木) 19:30:27.70 ID:Hbub/psI0

「こちらオスカー23。HQ、ゴルフ12の墜落地点を発見した。北西ブロックの、西大通りの北3kmの地点。座標は・・・」
「機体は炎上してはいない模様。現在機体周辺に人影はなし」

ξ゚听)ξ「HQ、了解。墜落地点周辺の哨戒に移ってください。その際は対空攻撃に注意して」

「・・・オスカー23、了解」

通信を終えると、ツンは荒巻の方へ振り返った。

ξ゚听)ξ「大佐、どうしますか?」

/ ,' 3「ギコ達の安否を確かめねばならん。ジョルジュ達に行かせよう」

ξ゚听)ξ「しかしクワシクは?」

/ ,' 3「リトルバードでここまで連れてこよう」

ξ゚听)ξ「了解しました」

ツンはジョルジュ達の通信機へとチャンネルを切り替えた。

6 名前:642 :2006/08/17(木) 19:33:09.81 ID:Hbub/psI0

―――ランリッツベルグ・南東ブロック・小学校跡地―――

('A`)「なあ・・・遅くないか?」

( ∵)「・・・遅いな。ジョルジュ、通信したのがいつだ?」

(  ゚∀゚)「30分前だ」

ピックアップポイントに到着したことを告げてから、ゆうに30分が過ぎていた。
ブラックホークの速度を考えると、あまりにも遅すぎる。
隊員たちの脳裏に不安がよぎっていた。

川 ゚ -゚)「そういえば北から爆発音のような音が響いていたぞ」

(;゚∀゚)「本当か。ミルナ、そっちからは何か聞こえたか」

( ゚д゚ )「クー1等軍曹と同じです。あと重機のような音も聞こえました」

(;^ω^)「まさか・・・」

(´・ω・`)「でもこんなに遅くなるって事は・・・」

ξ゚听)ξ「HQよりチームVIP、緊急事態です。落ち着いて聞いてください。ゴルフ12が撃墜されました」

( ^ω^)('A`)( ∵)(´・ω・`)(  ゚∀゚)川 ゚ -゚)从゚∀从( ゚д゚ )「!!!!」

7 名前:642 :2006/08/17(木) 19:35:20.22 ID:Hbub/psI0

ξ゚听)ξ「墜落地点は北西ブロック。座標は・・・・・・。パイロット他の安否は不明です」

(;^ω^)「ツン、本当かお!?ギコが落とされるわけがないお!!」

ξ゚听)ξ「落ち着いてブーン!これは事実よ。まだ間に合うわ」
ξ゚听)ξ「リトルバードをそこに向かわせます。クワシクはそこから脱出させます」
ξ゚听)ξ「残りのメンバーは墜落地点に向かい、安否を確認。生存なら救出してください」

(  ゚∀゚)「・・・了解した。チームVIP、ゴルフ12の救出に向かう」

ξ゚听)ξ「なにか動きがあれば直ぐに連絡します。以上」

ツンからの通信が終わると、隊員たちはしばらく押し黙っていた。
重苦しい空気が漂う。口を開いたのはジョルジュだった。


8 名前:642 :2006/08/17(木) 19:37:58.45 ID:Hbub/psI0

(  ゚∀゚)「・・・よし。皆、もうすぐリトルバードが来る。クー!ブーン!」

川 ゚ -゚)( ^ω^)「!!」

(  ゚∀゚)「クワシクを連れて一旦帰投しろ」

( ^ω^)「なんでだお!?これから墜落地点に向かうんじゃないのかお!?」

(  ゚∀゚)「そうだ。だがクワシク1人をヘリに放り込んでサヨウナラ、じゃダメなんだ」
(  ゚∀゚)「誰かがエスコートしなきゃならん」

川 ゚ -゚)「なぜ2人なんだ?」

(  ゚∀゚)「合流時に1人じゃ危険だ。3人つけてやりたいが、それじゃこっちが少ないんだ」

( ^ω^)「・・・把握したお」

それから数分後リトルバードが飛来し、その大きさと比べて随分広いグラウンドに着陸した。
クワシクを連れたクーとブーンが駆け寄る。
クワシクを強引に狭い貨物室に押し込み、シートベルトで身体を固定する。
そうしないとリトルバードの急機動で怪我をする恐れがあった。
自殺防止用の猿轡を噛ませてあったから、舌を噛み切る恐れはなかった。
クーとブーンはベンチシートに座り、命綱に身体を固定した。

9 名前:642 :2006/08/17(木) 19:39:31.87 ID:Hbub/psI0

( ^ω^)「ギコを頼むお!」

(  ゚∀゚)「任せとけ!」

「こちらオスカー23、離陸するぞ!」

予定外の3人を載せたリトルバードはゆっくりと浮かび、真っ暗な校舎から離れていった。
ジョルジュは見張りについていた隊員たちを集める。

(  ゚∀゚)「揃ったか?」

光量を落としたライトを点け、ランリッツベルグ市内の地図を取り出した。
ツンから聞いた座標と地図を照合し、墜落地点を特定する。

( ∵)「北西ブロックか」

('A`)「マジかよ真反対じゃねーか」

ジョルジュ達がいるのは南東ブロックの外れで、墜落地点の北西ブロックとは真反対の方角だった。


10 名前:642 :2006/08/17(木) 19:41:19.04 ID:Hbub/psI0

( ゚д゚ )「少し遠いですね」

(´・ω・`)「敵もそこら中にいるだろうね」

(  ゚∀゚)「・・・だな。でもギコ達が生きてるかもしれないからな。行くしかないぜ」

从゚∀从「カッコいいこと言いますねー。ギコのおじさんを助けに行きましょー!」

( ゚д゚ )「大尉に向かっておじさんはないと思いますが・・・」

从゚∀从「気にしない気にしない!」

そう言ってハインリッヒは立ち上がる。口調こそ陽気であるが、その目には怒りがこもっていた。

(  ゚∀゚)「よし!チームVIPはこれから墜落地点に移動、パイロット他の安全を確保する。・・・行くぞ!」

( ∵)('A`)(´・ω・`)从゚∀从( ゚д゚ )「了解!」

その時、ブーンから通信が入った。
何故か銃声のようなものも聞こえた。


11 名前:642 :2006/08/17(木) 19:43:28.52 ID:Hbub/psI0

(;^ω^)「こちらブーン!ジョルジュ、大変だお!」

(  ゚∀゚)「どうした!?」

(;^ω^)「そっちにテロリストが向かおおおおおおおおおお!!!!!」

(;゚∀゚)「お、おいブーン!どうした!?」

「こちらオスカー23」

リトルバードからの通信が割り込んだ。

「武装したテロリスト大勢がそちらに向かっている。注意されたし」

(  ゚∀゚)「なんだって!!??」

12 名前:642 :2006/08/17(木) 19:47:26.24 ID:Hbub/psI0

―――ランリッツベルグ・南大通り―――

ジョルジュ達と別れたブーンは、リトルバードに乗って、北西の空軍基地に移動していた。
途中で墜落地点の偵察をするために、真っ直ぐ北西に進路をとっていた。
市の中心部から延びる南大通り上空に差し掛かったとき、異変に気づいた。
さきほどまで人っ子一人いなかった大通りに、大勢の人影が見えたのだ。

( ^ω^)「あれは何だお!」

大通りにいたのは、AKや機関銃、RPGと思しきものを持った男達だった。
まるで川のように、一つの方向に向かって人の流れが出来ていた。
流れは南に向かっていた。東に方向を変えるものもいた。目的地はすぐに分かった。


13 名前:642 :2006/08/17(木) 19:50:14.27 ID:Hbub/psI0

川 ゚ -゚)「・・・小学校か!」

様子を見るため、すこし進路を変えて、大通りを北上する。
すると、上を飛ぶヘリに気づいた集団が、AKを空に向けて撃ってきた。
ブラックホークと違い、小型で身軽なリトルバードは、その銃撃を難なくかわす。
ただしジェットコースターのような機動にはなったが。

(;^ω^)「おおおおおおおお!!!!」

ジョルジュに通信していたブーンが、驚いて叫ぶ。
必死に機体にしがみつく。クーはケロリとしている。

川 ゚ -゚)「これはまずい状況だな。基地に急いでくれ」

「了解!」

リトルバードは更に速度を増し、北西へ飛んでいった。

14 名前:642 :2006/08/17(木) 19:53:52.69 ID:Hbub/psI0
―――ランリッツベルグ・北東ブロック―――

ヘリを落とした流石兄弟は自分の家に戻っていた。ただし明かりは点けておらず、暗い室内にタバコの火だけが光っていた。
ジャズも音量を落として流れていた。

( ´_ゝ`)y━・~~~「お帰り弟者」

ちょうどドアを開けて弟者が入ってきたところだった。
弟者はそのまま兄者の向かい側のソファに腰掛け、天井を見る。

(´<_` )「ただいま。確かにヘリは堕ちたぞ」

( ´_ゝ`)y━・~~~「そうか。フォローthx」

(´<_` )「小学校の方は?」

( ´_ゝ`)y━・~~~「連絡はまわしておいた。今頃向かってるんじゃないのか?」

15 名前:642 :2006/08/17(木) 19:56:00.97 ID:Hbub/psI0

(´<_` )「そうか。ところでタバコはやめてくれ兄者」

( ´_ゝ`)y━・~~~「何故だ?こんなに美味いのに」

兄者はプハーッと煙を吐いた。そして美味そうにタバコを吸う。

(´<_` )「きょうびタバコなんて流行らねーんだよ」

( ´_ゝ`)y━・~~~「はいはい嫌煙厨嫌煙厨。プハー」

(´<_`#)

暗い室内で、取っ組み合うような物音が聞こえた。

19 名前:642 :2006/08/17(木) 19:58:35.40 ID:Hbub/psI0
―――ランリッツベルグ・南東ブロック・小学校跡地―――

リトルバードからの追加報告によると、こちらに向かっている敵は150名余りで、
ほとんどが武装していたらしい。
ここで、ジョルジュは1つの決断を迫られていた。

( ∵)「脱出するか?今ならギリギリ間に合うぞ」

(  ゚∀゚)「・・・」

( ゚д゚ )「自分はここでアンブッシュ(待ち伏せ)したほうが良いと思います」

すなわち、ここを早々に立ち去りさっさと墜落地点に急ぐか、それともここで敵の集団を叩くか、であった。
どちらも困難なものであったが、悠長に悩んでいる暇は無かった。


21 名前:642 :2006/08/17(木) 20:01:13.36 ID:Hbub/psI0

(  ゚∀゚)「・・・よし」
(  ゚∀゚)「ミルナ、クレイモアは何個持ってきた?」

( ∵)「ジョルジュ!?」

ジョルジュが選んだのは後者だった。

(  ゚∀゚)「ビコーズ、ここらで150人削っときゃ後も楽だろ。後ろから突っつかれることも無いぜ」

('A`)「でもよ!?」



22 名前:642 :2006/08/17(木) 20:02:56.61 ID:Hbub/psI0
(  ゚∀゚)「大丈夫だってドクオ。弾も余ってんだろ?」

('A`)「時間がねえぞ!?」

从゚∀从「来たのを速攻で全部倒していけば良いと思いまーす!」

('A`)「ちょwwwwwwwwww」

( ∵)「・・・ジョルジュ。計画は?」

('A`)「ビコーズ!?」

(´・ω・`)「諦めなよドクオ。ジョルジュの判断だ」

('A`)「・・・分かったぜ」

(  ゚∀゚)「おう!そういうことだ!じゃあ指示するぞ」

ジョルジュは再度周辺の地図を広げた。

23 名前:642 :2006/08/17(木) 20:05:58.83 ID:Hbub/psI0

                                               N
                                              /|
                                             W─┤E
                                               │
                                               S

             

                                     ┌─────────┐
                                     │                │
                                     │     ┌─────┘
                                     │     |
                                     │     |
                                       ̄|__| ̄

           ━━━━━━━━━━━━━━━━━┓
           ━━━━━━━━━━━━━━━━┓┗━━━━━━━━━━━
                                   ┗━━━━━━━━━━━━

(  ゚∀゚)「ここを見てくれ」

ジョルジュは校舎の南側に伸びる2本の線を指した。
それは現在は使われていない用水路だった。
さほど深くは無いが、小学校の児童が転落して溺死する事故が相次いだために使用が中止されていた。


24 名前:642 :2006/08/17(木) 20:08:22.64 ID:Hbub/psI0

(´・ω・`)「なるほど塹壕にぴったりだね」

(  ゚∀゚)「そうなんだよ。さっき見てきたが深さも丁度良い」

( ∵)「ここに何をまわす?」

(  ゚∀゚)「ビコーズ、ドクオ、ハインリッヒが行ってくれ。」

( ∵)('A`)从゚∀从「了解」

(  ゚∀゚)「ミルナ、ショボンは俺と一緒に校舎から攻撃する」
(  ゚∀゚)「多分敵は北西方向から来る。そこで持ってるクレイモアを全部使って殺傷地域を作る」


25 名前:642 :2006/08/17(木) 20:10:50.26 ID:Hbub/psI0

( ゚д゚ )「全部ですか」

(  ゚∀゚)「どうせこの先クレイモア仕掛けて待ってる事なんか無いって」

( ゚д゚ )「・・・言われれば」

(  ゚∀゚)「だろ?んで敵が来たらクレイモアで吹っ飛ばして一斉射撃、大打撃を与えるんだ」

('A`)「なるほどね。教本どおりだな」

(  ゚∀゚)「俺は優等生ちゃん!!だからな。全員、位置についてくれ」

一同「了解!」


26 名前:642 :2006/08/17(木) 20:12:42.29 ID:Hbub/psI0

隊員たちは周辺にクレイモアを仕掛けに行った。
ショボンだけは校舎の上に上り、適切な狙撃位置を探す。
5人でやればクレイモアの敷設もあっという間に終わり、ビコーズとドクオとハインリッヒは南の用水路へ、
ジョルジュとショボンとミルナは校舎周辺へ隠れた。
待つことしばらく、北西方向が少し騒がしくなってきた。

(  ゚∀゚)「HQ、こちらジョルジュ。小学校跡にて敵集団を攻撃する」

(  ゚∀゚)(さあて・・・ここからが本当の戦いだな)

チームVIPの6人は、息を殺してじっと獲物が近づくのを待っていた。


30 名前:642 :2006/08/17(木) 20:30:57.31 ID:Hbub/psI0
ブーン、ビコーズ、ドクオ、クーの装備
「M4カービン」http://dyn.masdevgrp.net:8080/images/airsoft/P0001636.JPG

ミルナの装備
「M16withM203グレネードランチャー」http://www.geocities.jp/yasurarin/M16A2/m16a2.jpg
(画像のようなスコープではありません)

32 名前:642 :2006/08/17(木) 20:33:15.74 ID:Hbub/psI0
ハインリッヒの装備
「FN-MINIMIパラ」http://www.neo-sport.com/catalog/images/aeg/TOP/top-para_big.jpg

ジョルジュの装備
「Mk.48mod」http://www.fnmfg.com/products/m249fam/mk48mod0.jpg


 戻る | 次へ

inserted by FC2 system