( ^ω^)ブーンが特殊部隊になったようです
75 名前:642 :2006/08/13(日) 23:36:16.84 ID:jPs5JbKK0
chapter5.兄弟

―――ランリッツベルグ―――
ランリッツベルグ北東ブロックの、とあるマンションの一室。
静かで、それでいて軽快なジャズが流れる室内で、男がソファに座ってくつろいでいた。
部屋には観葉植物や油絵などが飾られていて、なかなかセンスのよい部屋になっていた。
男は目を瞑り、スピーカーから流れる音楽に耳を傾けていた。
曲も中盤に差し掛かったとき、不意にドアが開いた。

(´<_` )「兄者、少し話がある」

ノックもせずにドアを開けたのは、ソファにいる男とそっくりな男だった。
兄者、と呼ばれたのはソファでくつろぐ方のようで、男は目を開けてドアの方を見やる。
入ってきた人物を確認すると、やや不機嫌そうに口を開いた。

76 名前:642 :2006/08/13(日) 23:38:16.03 ID:jPs5JbKK0

( ´_ゝ`)「なんだ弟者。ちょうど良い所だったんだぞ。ここのサックスのソロがな・・・」

(´<_` )「またジャズを聴いていたのか。ファンクにしろファンクに。JBとかな」

( ´_ゝ`)「ジェームズ・ブラウンか。ああいう暑苦しいのは好かん」

(´<_` )「分かってないな。ああいうソウルフルな音楽こそが最高で・・・」

( ´_ゝ`)「わかったわかった。で、話とは何だ。音楽談義では無さそうだが」

(´<_` )「おお、そうだった。話がそれたな。兄者、南西ブロックに軍のヘリが来たらしい」

兄者はソファから身を起こした。


77 名前:642 :2006/08/13(日) 23:41:18.08 ID:jPs5JbKK0

( ´_ゝ`)「軍のヘリ?機種は?」

(´<_` )「ブラックホークと偵察用の小型ヘリが1機ずつだ」

( ´_ゝ`)「テロリスト探しの偵察か?」

(´<_` )「それがな兄者。どうも違うようでな。飛び去った直後に銃声と爆発音が聞こえたらしい」

( ´_ゝ`)「それは・・・」

(´<_` )「さらにクワシクと連絡がつかなくなった。多分製薬会社ビルが襲撃されたんだと思う」

( ´_ゝ`)「ニューソク陸軍か」

(´<_` )「いや、分からん。情報では襲撃されて数分でビルは燃え上がったそうだ」
(´<_` )「手際のよさから[例の部隊]だと思う」

2人はチームVIPを話題にした。チームVIPは秘密部隊だったが、テロリストの間では[例の部隊]と呼ばれ恐れられていた。


78 名前:642 :2006/08/13(日) 23:43:01.21 ID:jPs5JbKK0

( ´_ゝ`)「狙いはクワシクだろうな。やつはこの前の大使館占拠事件を主導してたからな」

(´<_` )「同感だ。その時にビル周辺の者が応戦したがことごとくやられた」

( ´_ゝ`)「[例の部隊]ならありえる話だ。もう撤退したのか?」

(´<_` )「それが南東ブロックに向かっているらしい。多分小学校跡で落ち合うつもりだろう」
(´<_` )「あそこならグラウンドにヘリが着地できる」

( ´_ゝ`)「そうか・・・じゃあ俺らがやることは一つだな」
( ´_ゝ`)「ヘリは今どこに?」

(´<_` )「そう言うと思った。ブラックホークは街の北に、偵察ヘリは南部を哨戒飛行している」
(´<_` )「やるならブラックホークのほうだな」

( ´_ゝ`)b「OK,標的ゲット」d(´<_` )

顔がそっくりな兄弟2人は、部屋の明かりを消し、外に出て行った。
流石兄弟。世界中のテロ組織を渡り歩いてきた筋金入りのテロリストである。
様々な身分を偽り、数ヶ国語を話す彼らの動向を知ることは、さすがのニューソク情報局も出来なかった。
そもそも彼らはその存在自体が知られて居なかった。現場に近いところに居ながら一つの痕跡も残さない、
ある意味チームVIPと同じような存在だった。


79 名前:642 :2006/08/13(日) 23:45:39.92 ID:jPs5JbKK0

―――ランリッツベルグ・南東ブロック―――

(  ゚∀゚)「こちらジョルジュ。ゴルフ12、そろそろピックアップポイントだ。迎えを頼む」

( ,,゚Д゚)「了解。ランリッツベルグ北より侵入する。周辺の安全の確保を頼む」

チームVIPは小学校跡地のすぐそばまで来ていた。
南東ブロックの外れに位置する校舎はひっそりと静まり返っていて、グラウンドには草すら生い茂っている。
周囲は何も無い荒地になっていて、さながら城砦のようにも見えた。
数年前に市の中心部に移転したが、校舎は取り壊されずにそのまま残ったらしい。
北側に校舎、南にグラウンドがあるその学校をピックアップポイントに指定していた。
周辺の安全を確保し、あとはギコのブラックホークが来るのを待つだけだった。

80 名前:642 :2006/08/13(日) 23:47:20.49 ID:jPs5JbKK0

( ^ω^)「ずいぶん簡単なミッションだったお」

(´・ω・`)「なんか気が抜けちゃうね」

从゚∀从「ですよねー。超楽勝って感じ?」

( ∵)「おいおい、まだ終わってないぞ」

川 ゚ -゚)「無事帰るまでが任務だからな」

('A`)「大丈夫なんじゃね?弾丸もかなり余ったぜ」

そうは言いながらも、隊員たちは周りを鋭い目つきで見張っていた。
時おり、北の空を見てはヘリの音がしないか確かめたりした。

82 名前:642 :2006/08/13(日) 23:50:20.89 ID:jPs5JbKK0
―――ランリッツベルグ北部―――

( ,,゚Д゚)「さあお迎えにいってやるか!」

(*゚ー゚)「そうですね。早いところ引き上げてあげましょう大尉」

通信を受けたギコは進路を南にとった。ブラックホークはひっそりとした街の上を飛んでいく。

( ,,゚Д゚)「不意の攻撃に注意しろよ!」

ギコは後ろのドアガンナーに呼びかける。操縦席のすぐ後ろに開いた窓から左右1人ずつ、それぞれ
周囲を警戒していた。

84 名前:642 :2006/08/13(日) 23:53:51.82 ID:jPs5JbKK0
ギコが前に向き直ったその時、目の前を数発の曳光弾がかすめた。

( ,,゚Д゚)「うおっ!早速きやがった!ガンナー!」

「了解!!」

右側のガンナーがM134ミニガンを向ける。1秒に100発を発射できるミニガンの銃口から、
唸り声にも似た発射音と共に銃弾のシャワーが浴びせられた。それはビルの上からAKを撃ってきたテロリストを洗い、
通り過ぎた跡には血と肉片と砕けたコンクリート片しか残さなかった。

( ,,゚Д゚)「ふう・・・。しぃ!対空攻撃に注意しろ!」

(*゚ー゚)「はい!」

嫌な予感がした。作戦開始からさほど時間がたっていない。しかしその割に攻撃が激しい。
AKの1発や2発を喰らってもブラックホークはビクともしないが、このままではもっと威力のある物を持ち出してきそうな勢いだった。
例えば・・・


85 名前:642 :2006/08/13(日) 23:55:05.87 ID:jPs5JbKK0

(*゚ー゚)「左、対空ミサイル!」

( ;,゚Д゚)「やっぱりな!」

左を見ると、白い尾を引きながらこちらに向かってくるミサイルが見えた。
ギコは手元のスイッチを押した。テイルブームの外側に設置されたフレア・ディスペンサーから、
複数の火炎弾が放出され、煌々と燃え上がりながら落下してゆく。
同時にギコは機体を右傾させた。高度を落とし回避機動をとると、ミサイルはフレアに命中し、爆発した。
どうやらミサイルは旧式だったらしい。

( ,,゚Д゚)「ヤバイなこりゃ」

ギコの頬を冷や汗が伝った。

87 名前:642 :2006/08/13(日) 23:57:16.19 ID:jPs5JbKK0

( ´_ゝ`)¶⊂「・・・ああそうだ。とにかく連絡を回せ。動ける奴は全員だ」
( ´_ゝ`)¶⊂「南東ブロックの小学校跡地にまわせ。・・・撤退?大丈夫だ。今から何とかするさ」
( ´_ゝ`)¶⊂「うん・・・そうだ・・・それでいい。また連絡する。」
( ´_ゝ`)¶⊂「ラ・ヨダソウ・スティアーナ」

ランリッツベルグ東大通りの近くのとある廃ビル。1人の男が携帯電話片手に階段を登っていた。
左手で携帯電話を持ち、右肩になにやら大きなケースをしょっていた。
男―兄者は冬でもないのに真っ黒なコートを着ていた。さすがにやや軽めの素材で出来ているようだったが、
それでも今は少し暑いだろう。

88 名前:642 :2006/08/13(日) 23:59:37.91 ID:jPs5JbKK0
灰色の壁面には汚い落書きが一面に書きなぐられている。明かりはついておらず、外からの薄明かりでかろうじて
地形が分かるほどであった。階段を登りきり、屋上に出るドアを開ける。
遠くからヘリの羽音と、爆発音が響く。北をチラリと見上げた時、不意に後ろから声を掛けられた。
振り向くと、目がうつろな若者が数人薄笑いを浮かべて立っていた。

「ひひひ・・・オッサン、誰に断ってここに入ってんだ!!??」

「ここは俺たちの領域(シマ)だぜえ・・・!?」

「キヒヒヒ、お前まさか売人かぁ?」

見れば足元には注射器やライター、アルミ箔と白い粉末がある。
年齢はまだ20歳にもなっていないだろう。麻薬に手を出した非行少年達らしい。

89 名前:642 :2006/08/14(月) 00:01:11.66 ID:m2TUUkSa0
この荒んだ街ではこういう輩が生まれるのも仕方が無いな、兄者はそう思ったが言葉には出さずに黙っていた。

( ´_ゝ`)「・・・」

「おいオッサン聞いてんのかこのヤロー!」

兄者はオッサンといわれたが、外見は20代中ばにしか見えなかった。

「このヤローなめやがってぇえ殺してやるぜええぇぇぇ!!!!!」

黄色のシャツを着た若者がバタフライナイフを抜き、兄者に突進した。タックルしてその勢いで突き刺そうとした。
しかし、刃は兄者に届くことは無かった。若者の手はあっという間に捻りあげられていた。


90 名前:642 :2006/08/14(月) 00:02:58.00 ID:m2TUUkSa0

「うぐぅ・・・放せこの野郎ううああぁああっぁ!!!!!!!」

( ´_ゝ`)「ナイフはこう使うんだ」

何とか逃れようともがく若者の手からナイフを奪い、左手でナイフを首筋に突き立てた。
一瞬若者の体がビクンッと震える。更に兄者はナイフを半回転させてえぐり、抜いて投げ捨てた。
若者の首から血が噴水のように噴き出した。

「ひ、ひいいぃぃぃいい!!!!???!??!??!?」

残った若者達は、目の前の惨状を見て我に返ったようだった。
黄色いシャツは鮮血に染まり、打ち上げられた魚のように痙攣している仲間を見れば、
さすがに麻薬の効能もどこかに行ってしまうのかもしれないようだ。

「うあああぁぁ!!!」

身の危険を感じた若者達は兄者に背を向けて走り出した。階段はたった今兄者が登ってきたから使えなかった。
それでも兄者より1mでも離れるのが最良に思えた。

91 名前:642 :2006/08/14(月) 00:04:19.46 ID:m2TUUkSa0

( ´_ゝ`)「阿呆が」

兄者は素早くコートに手をいれ、懐から銀色に輝く拳銃を取り出した。
そしてバラバラの方向に逃げる若者の背中に狙いを定め、1発ずつ撃った。
撃ち出された拳銃弾は胸を貫き、1人また1人と倒れていった。銃声が木霊するのが終わったとき、
ビルの屋上には血を流して横たわる数人の若者が居た。何人かはまだ息があった。

( ´_ゝ`)「因縁をつけるのはやめましょう」

拳銃をしまわずに、横たわる人体の頭部に向けて照準し、引き金を引く。ビルの屋上で生きている者は兄者1人だけになった。
すっかり空になった弾倉を捨て、新しい弾倉を装填する。銃を懐に入れると、入れ替わりに携帯電話が鳴った。

( ´_ゝ`)¶⊂「なんだ弟者か」

92 名前:642 :2006/08/14(月) 00:08:06.60 ID:m2TUUkSa0

「・・・なんだじゃないぞ兄者。そろそろ来るぞ。準備してくれ」

( ´_ゝ`)¶⊂「OK、任せろ」

そう言って兄者は電話を切ってしまう。右肩のケースを降ろし、地面に置いて鍵を開ける。
中からは大きなライフルが出てきた。NTW−14・5mm対物ライフル。狙撃銃としては最大級の弾丸を使用するそれは、
銃というよりは小型の大砲と言う方がぴったりだった。これまた大きなスコープを取り出し、
慣れた手つきで据え付ける。

93 名前:642 :2006/08/14(月) 00:10:19.28 ID:m2TUUkSa0
兄者は右の空を見上げる。ブラックバードが一機、こちらに向かって飛んできている。
時おり側面が光り、曳光弾が地上に向けて放たれる。どうやら地上からの攻撃に対し反撃をしているようであった。
予定通りだった。何人かは殺られたかもしれないが、少しでも消耗させられたのならいい。
兄者は近くを見回した。すると、近くにちょうどいいコンクリートの部分があった。
自分の背丈より幾分か低い。兄者はそこにNTWライフルの二脚を載せ、銃口を空に向けた。
スコープを覗き込むと、ちょうどブラックホークの姿が目に入る。操縦席の左右にパイロットがいる。
彼が狙っている操縦席左側にいるのは女性のようだった。

( ´_ゝ`)「悪いなお嬢さん・・・」

太いボルトハンドルを引いて初弾を装填し、
照準線を機体のやや前方に保持する。さもないと撃ち出された弾丸は、既に目標の通り過ぎた空間を虚しく通り過ぎるだけになる。
ブラックホークの進行に合わせて狙いを定め、そしてゆっくりと引き金を引く。
マズルブレーキでいくらか抑えられるものの、兄者の身体を強烈な反動が襲う。
噴出した火薬臭が、辺りに漂う鉄の臭いと混じり合う。
閃光と共に飛び出した14,5mm弾は、音速の数倍のスピードで、回転しながら飛翔していった。
その進む先には、若い女性パイロット―しぃの姿があった。

95 名前:642 :2006/08/14(月) 00:12:32.81 ID:m2TUUkSa0

ブシャアアァッッ

何か破裂音のような音を聞いて、しぃは後ろを振り返る。
しぃが見たのは左胸から肉片と血液をばらまき、倒れこむドアガンナーの姿だった。

(*゚ー゚)「!!!!!」

右側のガンナーが損傷を確かめ、首を振った。死亡ということだった。
左肩から大きくVの字に裂けていた。

( ,,゚Д゚)「クソッ!HQ、こちらゴルフ12!被弾した!ドアガンナー1名死亡!」

半ば怒鳴るように無線機に喋りかけるギコ。反撃するものの居なくなった機体左側を敵の銃弾が叩く。
ブラックホークは逃げるように、またしても右に傾く。
いよいよ想定の範囲外だった。ギコの背中を大量の汗がつたう。

96 名前:642 :2006/08/14(月) 00:13:55.61 ID:m2TUUkSa0


「・・・どうだ弟者。見事命中、流石だろう」

(´<_` )¶⊂「・・・パイロットを外したくせに何を言ってるんだ」

「・・・正直すまんかった」

(´<_` )¶⊂「まあ気にしなくていい。どの道こっちで上手くやる」

ランリッツベルグ南東ブロックの、北端のとあるビルの屋上に弟者はいた。
やはり兄と同じような黒色のコートを着ている。違いは、大きなケースはしょっておらず傍らに仲間と思しき男がいることだ。
被弾したブラックホークは、ハッキリと視認できるほどに近づいていた。

(´<_` )∩

北のビル屋上にいる仲間に向かって、左手を高々と上げて合図する。

97 名前:642 :2006/08/14(月) 00:15:33.50 ID:m2TUUkSa0
そこには50口径の重機関銃が据え付けられていた。重低音が響き、たちまち曳光弾がブラックホークに向かっていく。
ブラックホークは射線から逃れようとするが、数発が機体に命中し、穴を空ける。
弟者は傍らに置いていたSA-18イグラ地対空ミサイルを担いだ。
ラウンジ人民国製の最新型携帯地対空ミサイルだった。射程は5Km以上で、既に損傷しているヘリ相手には十分すぎる代物だった。
後ろの男は時代遅れのSA-7ストレラを担ぐ。
弟者は、発射筒に付いている照準機の中にヘリを収め、ロックオンする。発射可能を伝える、ピーという電子音が鳴ると
弟者はミサイルを発射した。バックブラストが後方に噴き出した。

ミサイルが2発、白い尾を引きながらブラックホークに向かってゆく。
今度も回避用のフレアを射出しながら左に機動する。1発はフレアに惑わされ、外れて爆発した。
だがもう1発は迷うことはなかった。弟者の放った最新型の方だった。

99 名前:642 :2006/08/14(月) 00:19:03.00 ID:m2TUUkSa0
ミサイルはテイルローターに命中した。ヘリはクルクル回りながら明後日の方角へ、徐々に高度を下げながら
堕ちて行く。弟者は再び携帯電話を取り出した。

(´<_` )¶⊂「兄者、ヘリは堕ちたぞ」

「・・・OK、流石だな俺ら」

(´<_` )¶⊂「ああ、流石だな。あとは[例の部隊]だけだ。手配を頼む」

「・・・大丈夫だ。もうしておいた」

(´<_` )¶⊂「把握した」

弟者は電話を切ると、発射筒を担いでその場を後にした。
ヘリの行方は見なかった。

100 名前:642 :2006/08/14(月) 00:21:58.83 ID:m2TUUkSa0

何がなんだか、把握するのも困難だった。
突如飛来した1発の弾丸によって左ドアガンナーが殺され、続く銃撃から逃れればまたもや対空砲火に晒された。
更に対空ミサイルが迫っていることが警告され、フレアを投じて回避した。
その後、機体全体を揺さぶる振動が伝わり、警告装置がけたたましく鳴り響いた。

(*゚ー゚)「テールローターに被弾!油圧低下!」

操縦席のディスプレイにはテールローターの機能が停止したことを示す表示が点滅していた。
操縦席からは直視できなかったが、機体尾部の小さなローターは吹き飛ばされ、小さく火が出ていた。
テイルローターは、揚力を生じさせ機体を浮かせるメインローターの、回転時のトルクを相殺する役割を持っている。
したがって、そのテイルローターの喪失が意味することは――

103 名前:642 :2006/08/14(月) 00:23:51.41 ID:m2TUUkSa0

( ;,゚Д゚)「HQ、こちらゴルフ12!テイルローターに被弾、機体制御不能!!」

メインローターの回転方向と逆の方向に回転しながら、ブラックホークは高度を下げていく。
ここでギコは、航空機を操縦する者として最も考えたくないことから逃れられないことを悟った。

( ;,゚Д゚)「メーデー!メーデー!ゴルフ12墜落する!」

既に地上はすぐそばに迫っていた。

( ;,゚Д゚)「衝撃に備えろ!!」

墜落時の衝突を少しでも和らげるため、言うことを聞かないブラックホークを懸命に操作しようとする。

( ;,゚Д゚)「くっそおおおおおおおぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」

まず最初に、テイルローターが地面に激突する。
衝撃でテイルブームは半ばから折れ、次にメインローターが地面に突き刺さり、へし折られ、飛び散る。
横向きに倒れ、所々穴の空いた胴体を晒す。
そこには、ニューソク最強の特殊部隊をどんな所にも運んでいく黒い鳥の面影は無かった。
あるのは翼を折られ横たわる哀れな黒鳥の姿だった。


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