( ^ω^)ブーンが特殊部隊になったようです
50 名前:642 :2006/08/13(日) 22:36:45.25 ID:jPs5JbKK0
chapter4.強襲

ニューソク連邦共和国の南に位置する都市、ランリッツベルグはもともと小さな独立国家の首都だったが、
数十年前にニューソクに併合され、一都市に成り下がった。もちろん住民は抵抗運動をしたが、連邦政府によってこれは抑えられた。
反対派が分裂するような風説の流布、反対派リーダーの暗殺など、狡猾な手段でもって運動そのものを抑えた。
諸外国からは批判の声も上がったが、大国のニューソクのやること、それは段々と小さくなっていった。
ただ、依然として住民の反ニューソク感情は残っており、そこに目をつけたNIAを筆頭とするテロリスト達が多数潜伏し、
外から大量の武器や爆発物を運びいれ、現在のような状態に至る。
ニューソク当局も軍や警察を動員して治安の維持に努めているが、テロリスト側のほうが優勢だという有様だった。


51 名前:642 :2006/08/13(日) 22:40:27.33 ID:jPs5JbKK0

夕暮れ時を迎えた街の上空に、ヘリコプターが2機飛来した。
ランリッツベルグは市街の中心部から東西南北に伸びる大通りによって4つのエリアに分けられていた。
ヘリコプターは北西から侵入し、一旦東に廻ってから南西のエリアに向かった。
ひっそりとした街中にヘリのローター音が響く。ここ最近の戦闘で住民の大半は家に引きこもっていた。
おかげで普通なら騒がしくなるはずの夕方には人っ子一人居なかった。
特殊部隊にとっては好都合といえた。見られる可能性も、民間人を誤射する可能性も少ないからだ。


52 名前:642 :2006/08/13(日) 22:42:52.42 ID:jPs5JbKK0

―――降下班―――

( ,,゚Д゚)「そろそろ到着だぜ!気合入れろゴルァ!」

(  ゚∀゚)从゚∀从( ´・ω・`)( ゚д゚ )「よっしゃあ」

ジョルジュたち援護班はゴーグルを装着し、降下に備えた。
側面のドアを解放すると製薬会社のビルが見えてくる。ブラックホークは徐々に速度を落とし、
ビルの正面でホバリングする。屋上を見れば、既にリトルバードが強行着陸していた。

(  ゚∀゚)「降下!」

ジョルジュの合図で一斉にロープが下ろされる。
降下班は何も器具を使わずに自分の身一つで器用にロープをつたって降りていく。
ファスト・ロープ降下という技術だった。手早く降下できる代わりに転落の危険性も伴うもので、
何度も訓練を重ねて経験を積まないと出来ない芸当だった。

53 名前:642 :2006/08/13(日) 22:45:21.46 ID:jPs5JbKK0
4人は降下すると、素早く展開してビルを取り囲む。ヘリからのダウンウオッシュが埃を巻き上げるが、
地面は舗装されていて大したものではなかった。
途中、ドアから人が出てきたが素早く撃ち倒した。ビル周辺の壁を背にし、ビルの4隅を前にして辺りを警戒する。
ビルの中からは銃声と爆音が響く。ビコーズ達が突入しているようだ。ジョルジュは無線をギコにつなぐ。

(  ゚∀゚)「ジョルジュよりゴルフ12へ。降下完了した。これ以上の滞空は危険だ。退避されたし」

( ,,゚Д゚)「了解。ゴルフ12、市街より脱出する。集合地点に近づいたら連絡をくれ」

ブラックバードが前傾し、離脱する。その時、機体下部に火花が散った。
見れば、数人の男達がAKを乱射していた。


54 名前:642 :2006/08/13(日) 22:47:37.32 ID:jPs5JbKK0

(  ゚∀゚)「くっそ、もう来やがったのか!」

Mk48.Mod軽機関銃を構え、3発ずつ小刻みに撃つ。2人がもんどりうって倒れる。
7.62mm弾が人体に与える衝撃力は強く、一撃で動きを止めることが出来る。
ジョルジュとは反対側にいるはずのハインリッヒとショボンの方向からも銃声が聞こえてくる。
背後のミルナも発砲を開始した。クワシクを拘束したビコーズ達が出てくるのが待ち遠しく思えてくる。
数m離れた地面を弾丸がえぐる。ジョルジュはまた引き金を引いた。

55 名前:642 :2006/08/13(日) 22:50:10.75 ID:jPs5JbKK0
―――拘束班―――

ブラックホークより少し先行して、MH-6Jリトルバードが製薬会社ビルに飛ぶ。
ベンチシートに座るビコーズ達を風圧が襲う。
リトルバードは製薬会社ビルの屋上に強行着陸した。厳密に言うと、スキッドが着地するスレスレでホバリングした。
ビコーズ、クー、ドクオとブーンは腰のカラビナから命綱を外し、屋上に降りる。
一旦しゃがんで周囲を警戒し、素早く屋上に出るためのドアに向かった。

「オスカー23よりHQ(作戦本部)、隊員は全員降下した。離脱する」

ξ゚听)ξ「了解。周辺の偵察を開始してください」

リトルバードのパイロットは、作戦本部になった北西の空軍基地に通信する。
そこでは荒巻とツンが作戦全体の指揮を執っていた。
隊員を下ろし、身軽になったリトルバードはそのまま離脱し、周囲を回るように飛行する。
その優秀な夜間監視装置で作戦終了まで周辺の監視・偵察にあたる為だった。


56 名前:642 :2006/08/13(日) 22:53:22.61 ID:jPs5JbKK0

ビコーズ達はドアの前には立たず、左右に立つ。ドア越しに銃撃されるのはまずいからだ。

川 ゚ -゚)「行くぞ」

クーはM4カービンのレイル下に取り付けられたショットガンをドアノブに向けて撃った。
鍵のかかったドアでも一撃で開けてしまうことから、マスターキーと呼ばれていた。
            __
           r'゚lニニニl] ___ /l
    fニニニニllニニ[ l===ニニl]}||||||||ll]}コl|====iニコ
    |l_,,=-'''~   ) ,rニ)「_,,,![。__。__。_]三i三三i三F
          〈,,/   |ll [`-' ̄ ̄    ̄ ̄ ̄
                '''~

M4A1 Masterkey


58 名前:642 :2006/08/13(日) 22:55:25.20 ID:jPs5JbKK0

クーはフォアグリップを引いて薬莢を排出する。同時にブーンがドアを蹴破りM4を連射しながら突入する。

( ^ω^)('A`)「動くな!」

ドアを蹴破り、クワシクがいないか探す。そこに居た人物は誰であろうと撃った。
いないことを確かめると、また廊下に出て次の部屋に行き、同じ事を繰り返す。
3階の最後のドアを開ける直前、AKの発射音が響きドアに風穴が開く。

( ∵)「スタンを使え!」

ドクオが閃光手榴弾を取り出し、部屋の中に放る。
すぐに大音響とまばゆい閃光が走る。クーが部屋に入り、銃を構えた男を射殺した。
もう1人、拳銃に手を伸ばした男が居たが、これも排除した。

川 ゚ -゚)「目標はいない。次だ!」


59 名前:642 :2006/08/13(日) 22:59:32.62 ID:jPs5JbKK0

ブーンとドクオは階段を降りた。外周に沿ったL字型の曲がり角から銃撃が加えられる。
2人は階段脇のくぼみに身を隠して避ける。ブーンは円形のM67手榴弾を取り出し、ピンを抜いた。

( ^ω^)つδ「1・・・2・・・!」

少し間を置いて投擲する。投げられた手榴弾は床に落ちる前に爆発した。
悲鳴と共に爆炎が広がり、割れたガラスが外に飛散する。
2人はそのままM4を構えて慎重に、かつ大胆に廊下を進む。途中の部屋を捜索し、中に居たものは全て倒した。

他の部屋より少し豪華なドアがあった。脇には「社長室」と書いてあるプレートがある。

( ^ω^)「怪しいお」

('A`)「怪しいな・・・フンッ!」

ドクオがドアを開け、ブーンが閃光手榴弾を投げ入れる。数度目の爆発音。
ドアをくぐり部屋の角に移動する。部屋には2人の男と、赤いキャミソールを着た若い女がいた。
男2人は拳銃を持ってひるんでいて、女の方は声も出ない様子だった。


60 名前:642 :2006/08/13(日) 23:01:33.08 ID:jPs5JbKK0

( ^ω^)「・・・」

ブーンは黙って一発ずつ2人の男に撃った。至近距離からライフル弾を喰らい、不自然な姿勢でバタリと倒れる。
頭を狙ったためか顎から上、鼻から上が欠損していた。

('A`)「クワシクはどこだ!」

ドクオが女に詰問する。女は泣きじゃくり答えるどころでない様子だった。

('A`)「この・・・!」

( ^ω^)「あそこのロッカーだお!」

ブーンが銃口で部屋の隅にあったロッカーを指す。
人一人が丁度入れそうな大きさのロッカーは、扉が閉まりきっておらず、一目見て違和感を覚えた。


61 名前:642 :2006/08/13(日) 23:03:41.94 ID:jPs5JbKK0

('A`)「そこか!」

女は武器を持っていなかったが、ドクオは顔面を蹴り飛ばして制圧し、銃口をロッカーに向けた。
ブーンがロッカーに近寄り、思い切り開け放つ。中から1人の男が出てきた。中年のメガネをかけた男。
セルゲイ・クワシクだった。

( ^ω^)「動くんじゃねーお!」

クワシクの襟首を掴み、強引に床に引きずり倒す。

「セルゲあqwせdrftgyふj!!!」

女がクワシクに向かって何か叫ぶ。

('A`)「黙ってろ」

ドクオが女の背中を踏みつけて黙らせる。その間にブーンは手錠を取り出しクワシクにかけた。
階下から銃声と悲鳴が聞こえる。どうやらビコーズ達が1階の制圧にとりかかったらしい。
ブーンは作戦本部に通信した。

62 名前:642 :2006/08/13(日) 23:06:49.04 ID:jPs5JbKK0

( ^ω^)「ツン、クワシクを捕獲したお」

ξ゚听)ξ「私の名前で呼びかけるのはやめてよ。まあいいわ。チームVIP、たった今クワシクを拘束しました」
ξ゚听)ξ「ブーン、あなたはクワシクを連れて外に出て。その際に建物に火を放って。以上」

( ^ω^)「あ、ちょっと待つお」

ξ゚听)ξ「何?」

( ^ω^)「なんかクワシクのセフレみたいな女が居るお。どうすればいいのかお?」

ξ゚听)ξ「情婦が?恐らく重要な情報は得られないわ。クワシクさえ確保すれば後はいいの」

( ^ω^)「了解だお」

無線機の向こうからパン、と音がした。ツンは目を閉じて、しばらくしてコーヒーをすすった。


63 名前:642 :2006/08/13(日) 23:09:02.36 ID:jPs5JbKK0

クワシクを連れて1階に降りるとビコーズがやってきた。どうやら1階の掃討は終わったらしい。
外からは断続的に銃声が聞こえる。

( ∵)つ鹵「ブーン、これを使え」

ビコーズはM14焼夷手榴弾を一つ、ブーンに手渡した。3000度の炎で周囲を焼き尽くすそれは、
特殊部隊の痕跡を消すにうってつけの物だった。

( ^ω^)つ鹵「おk、汚物を消毒してくるお」

ブーンは焼夷手榴弾を片手に2階に上っていった。しばらくして、爆発音がビル全体に響く。

( ^ω^)「やりましたお」

('A`)「ナイスくまぇり」

( ∵)「お前ら作戦中だぞ。援護班、クワシクを拘束した。外の状況は?」

「・・・こちら援護班、了解。ちょっと待っててくれ」

外からジョルジュのマシンガンの連射音が聞こえた。


65 名前:642 :2006/08/13(日) 23:11:16.00 ID:jPs5JbKK0

「OK。外は安全だ。早く出てきてくれ。増援が来ちまう」

( ∵)「了解」

ビコーズは通信を終えるとブーン達に向き直った。
捜索を終えたクーも合流する。2階に放った火の煙が立ち込め始めていた。

( ∵)「援護班に合流して南東ブロックの小学校跡を目指す。クー、出る際に火を放て」

川 ゚ -゚)「了解」

製薬会社ビルからブーンとビコーズ、クワシクを連行するドクオ、少し遅れてクーが出てきた。
クーが安全圏に離れた直後、1階の窓やドアから爆炎が噴き出した。ガラスの割れる音が当たりに響いた。
燃え上がるビルは周囲の目をひきつける効果もあった。それゆえに早くこの場から立ち去る必要もあった。
ビコーズはジョルジュと合流して、ピックアップポイントへ行くことを確認した。
ショボンとハインリッヒがお互いをカバーして、ミルナがこっそりと合流してきた。
全員が集まったチームVIPの指揮はジョルジュが執ることになっていた。

(  ゚∀゚)「よっしゃ、あとはずらかるだけだ!」

了解と、他のメンバーが小さくうなずく。
ヘリによる強襲からわずか数分の出来事だった。既に日が暮れていた。
燃え盛るビルを後にして、9人の人影は東に向かっていった。


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