(#゚;;-゚)でぃがヒマワリをさがしているようです
116 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:29:15.88 ID:O6eimVGT0
「みずがないのに……」

でぃはおどろきました。

かびんにささっている ヒマワリのはな、そのかびんのなかには みずがありません。

それにもかかわらず、ヒマワリは きいろい きれいなはなをさかせていました。

ふゆに、みずもなく さきつづけるヒマワリのはなが そこにあったのです。

「ミケ、ヒマワリがどうかしたの」

そういってこどもは、そのヒマワリのはなを かびんからぬきました。

そして、でぃのめのまえに そのはなをおきました。

119 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:31:47.56 ID:O6eimVGT0
こどものえがおをみていると、でぃはしぃといっしょにいるようにかんじていました。

ずっとたのしくて うれしくて。

それで わすれていました。

しぃはもうこのよにいないのです。

めのまえにいるこどもは しぃではないのです。

「あ、ミケ」

でぃはこどもからヒマワリのはなをうばうと、くちにくわえて そのいえをでていきました。

しぃのおはかをめざしました。

121 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:34:10.11 ID:O6eimVGT0
たいようがてりつけるまちを でぃは はしりました。

いつからでしょうか、もうにんげんがこわいというかんじょうは ありませんでした。

まちをあるいているにんげんをさけながら、やまのほうへとはしりました。

くちにくわえたヒマワリは すごくきれいで、たいようのほうをみていました。

しぃのおはかを はなれてから なんにちもたっています。

はやくしぃにあいたくて、でぃははしりつづけました。

125 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:36:29.66 ID:O6eimVGT0
そこにしぃのおはかは ありませんでした。

めじるしにたてた きのえだは おられていて、おいておいたヒマワリのはなも ありませんでした。

でぃのくちもとから ヒマワリのゾウカがおちました。

そして しばらくそのばでなきつづけていました。

127 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:38:44.32 ID:O6eimVGT0
いつのまにか ねむっていたようです、ゆうがたで かぜがつめたくなってきて、でぃはめざめました。

ためいきをついて、そらをみました。

たいようは、ちょうど しずむところです。

ヒマワリのゾウカは じめんをむいて おちていました。

ほしが ひとつ みえました。

くものうごきは すごくはやいです。

でぃはためいきをつきました。

130 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:40:48.95 ID:O6eimVGT0
「ようやくもどってきたのか」

「かめさん」

ものしりかめさんは、ふだんは いけから あまりでません。

そんなかめさんが、わざわざ あるいてきてくれました。

「いままで どこにいっていたんだい」

「ごめんなさい、でも……これは……」

「ほかのねこどもの しわざだよ」

「そうですか」

でぃは また なきました。

どうしてこんなめに じぶんが、どうして、どうして。

132 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:42:52.35 ID:O6eimVGT0
でぃは、にんげんたちにきずつけられた ボロボロの からだのせいで、ほかのねこたちに きらわれていました。

そのせいで しぃもいじめられてしまい、いつもふたりでいました。

しぃがいたから、そんなつらいげんじつにも たえられたのです。

おやのせいでいじめられるこども、なにもできなかったじぶん。

そのために、がんばって でぃはヒマワリをさがしたのです。

もう いなくなったこどものためにできる、さいごの おやらしいことの ために。

135 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:44:55.73 ID:O6eimVGT0
でぃは、むごんでじめんをほりだしました。

「でぃ」

かめさんがなにをいっても、みみをかたむけません。

だまって じめんをほりつづけました。

「でぃ」

かめさんがさけびました。

「おまえさんをみるのがつらすぎるわい」

「かめさん、わたしはだいじょうぶです」

でぃはじめんをほりながら いいました。

「わたしは しぃといっしょに、じめんにうまりたいのです」

137 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:46:59.34 ID:O6eimVGT0
もともと でぃは しぃにヒマワリをささげたあとで、しぬつもりでした。

まちでくるまって、ゆきにうもれて しぬつもりでした。

それが はやまっただけです。

「しぃといっしょに、じめんにうもれて わたしも しにます」

でぃは なみだをながしながら、てをやすめることなく いいました。

142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:49:04.14 ID:O6eimVGT0
「しぃは もう そこにいないのにか」

かめさんがいいました。

でぃはとうとう じめんをほる てを とめました。

そして なきくずれました。

「しぃ、しぃ……わたしはさいごまで おやとして なにもできなくて……」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 19:51:08.58 ID:O6eimVGT0
ずっとでぃは ないていました。

よるもふけようかというときに、ようやくでぃは おきあがりました。

「でぃ」

かめさんのこえをむしして、でぃはゆっくりと まちのほうに あるいていきました。

かめさんがなにをいっても もうむりです。

でぃはまちでくるまって、ゆきにうもれて しぬつもりでした。


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