(#゚;;-゚)でぃがヒマワリをさがしているようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:39:07.41 ID:O6eimVGT0
- あるところに、とてもなかのいい にひきの ねこのかぞくがいました。
おかあさんは でぃ といいます。
こどもは しぃ といいます。
にひきは、とてもなかよく くらしていました。
「おかあさん、わたしね、もりで きれいな はなをみつけたの」
「あら、どんなのかしら」
「きいろくてね、ぱーってなってるの」
「あらあら、それはとってもきれいね」
「うん、きれいだった」
でぃは、からだに たくさんのきずがあります。
ちいさいころに、にんげんにいじめられたのです。
おとうさんも、にんげんにいじめられて しんでしまいました。
- 5 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:41:32.14 ID:O6eimVGT0
- 「きいろいはなで、ヒマワリっていう なまえのはながあるの」
「へんななまえ」
「それがすごくおおきくてね、すごくきれいなの」
「きれいなの?」
「たいようにむかってね、ぐーっとせのびしているのよ」
「へー、いちどみてみたい」
「このあたりには ないからね」
「ちえっ」
ヒマワリは なつにまちにでれば たくさんみることができます。
ただ、でぃは まちにいきたくありませんでした。
にんげんがこわいのです。
このこも まちにいったらにんげんたちにいじめられるにきまっています。
でぃは、けっしてしぃをまちにだしませんでした。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:43:33.96 ID:O6eimVGT0
- そのとしのふゆは、とてもきびしいものでした。
でぃとしぃは、みをよせあって まいにちをすごしました。
しかし、しぃがすごくふるえています。
どうしたのだろうと、でぃはこえをかけました。
「しぃ、さむいの?」
「うん」
「おいで、だいてあげるから」
「ありがとう」
どれだけまわりがさむくても、ふたりはいつもいっしょでした。
そのひまで。
- 10 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:45:43.07 ID:O6eimVGT0
- つぎのひ、しぃはなにもいいませんでした。
でぃがあいさつをしても。
たいようがてって、あたたかくなっても。
だいてあげても。
しぃはしんでしまっていたのです。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:47:46.95 ID:O6eimVGT0
- 「どうして、どうして……」
でぃは、いちにちじゅう なきました。
よるにはゆきがびゅうびゅうとふいています。
ひるにはたいようがかおをだします。
でぃはずっとそこでないていました。
しぃは、ひにひにやせていきます。
それからしばらくたつと、でぃはかくごをきめて しぃのおはかをつくりました。
にんげんにみつからないように、もりのなかにちいさくつくりました。
そして、たいようをみていいました。
「ヒマワリの、はな……」
- 16 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:49:50.06 ID:O6eimVGT0
- しぃがさいごまでみたがっていた、ヒマワリのはな。
それをおはかにそえてあげようと、でぃははしりました。
むかったさきは、ものしりかめさんのところです。
かめさんは とてもながいあいだ いきていて、とってもたくさんのことをしっているのです。
「かめさん、かめさん」
「おや、あんたは……だれじゃったかのぅ」
かめさんは、ものしりだけど なまえをおぼえるのは、にがてなようです。
「わたしは、でぃですよ」
「おもいだしたわい、それでなんのようだい」
「じつは、ヒマワリのはなをさがしているんですが、どこにあるかしりませんか?」
「いまのきせつは、ヒマワリはさかんわい」
「わかっています、それでもいまひつようなんです」
でぃがそういうと、かめさんはうーんとなやんで こたえました。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:51:57.41 ID:O6eimVGT0
- 「まちにいけばあるが、おまえさんはにんげんがきらいじゃったろう」
「だいじょうぶです、にんげんがいてもかまいません、ヒマワリのはながひつようなんです」
「それなら、まちにはなやという たくさんのはながかざってあるたてものがあるから、そこにいきなさい」
「ありがとうございます」
おれいをちゃんといいきるまえに、でぃははしりだしました。
にんげんはこわいですが、あいするしぃのためです。
すこしでもはやく、ヒマワリをてにいれようとまちへいきました。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:54:00.98 ID:O6eimVGT0
- まちはたくさんのにんげんがいました。
にんげんをさけるようにものかげをぬけると、たてものをひとつひとつかくにんしました。
「はなやというたてものは、どこにあるのかしら」
ゆうがたになると、にんげんがすくなくなってきました。
そしてゆきがぱらりぱらりとふってきます。
からだがひえてきました。
はやくもどらないととおもいながらも、ひっしにはなやをさがしました。
がいとうだけがあかるい、そのしろくなったまちで、でぃはようやくはながたくさんあるおみせをみつけました。
- 21 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:56:02.38 ID:O6eimVGT0
- いまにも おみせはしまろうとしていました。
いそいでかけよります。
シャッターをしめようとするおとこのひとに、ゆうきをだしてちかよります。
「まってください、ヒマワリのはなをください」
でぃがなにをいっても、にんげんにことばはつうじません。
「なんだ、このねこは」
「おねがいします、こどもがしんでしまったんです、ちいさいものでもかまいません」
「にゃーにゃーうるさいな、みせじまいのじゃまだ」
おとこはでぃをけると、そのままおみせのなかへといってしまいました。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 17:57:06.92 ID:O6eimVGT0
- 「ああ、やっぱりにんげんはひどいわ」
でぃはゆきのすこしつもったじめんにころびながら、そのおとこをみていました。
たちあがると、あしたこそとおもいながらゆきのふるみちを やままでかえりました。
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