( ^ω^)ブーンが特殊部隊になったようです
- 38 名前:642 :2006/08/13(日) 22:09:18.86 ID:jPs5JbKK0
- chapter3 空路
―――ニューソク連邦共和国―――
首都キタコレシティより南に200Km離れた、のどかな田園地帯の上空を1機のヘリが独特の音を発しながら飛行していた。
地上から見上げると豆粒のようにしか見えなかったが、何となくシルエットで軍用機だと推測できた。
そのヘリコプターはまっすぐ南に向かっていた。
从゚∀从「とても39歳には見えないですよー」
( ,,゚Д゚)「がははは!若い子にそう言われると嬉しいねえ!」
ブラックホークのローター音が響くキャビンの中で、馬が合ったのかハインリッヒとギコは楽しそうに喋っていた。
作戦中だが、2人はまるで気にしてない。
- 40 名前:642 :2006/08/13(日) 22:11:29.56 ID:jPs5JbKK0
-
( ,,゚Д゚)「ハインリッヒ、だったか。お前さんは幾つだ?結構若いだろ」
从゚∀从「24ですよー。ピッチピチでしょー」
( ,,゚Д゚)「がはははは!いいねいいね若いね!」
まるで飲み屋にでもいるかのようなテンションで喋り捲る2人。
それでもベテランパイロットの腕は確かで、実に安定した飛行だった。キャビンの揺れは少ない。
( ,,゚Д゚)「おっと、席に座ってくれ。ちょっとアブラ入れるから」
从゚∀从「?」
疑問を感じながらハインリッヒは席に座る。
- 41 名前:642 :2006/08/13(日) 22:14:46.79 ID:jPs5JbKK0
- 着席を確認すると、ギコはブラックホークの高度を上げ、スロットルを開ける。
みるみる間にヘリは高度と速度を上げた。雲が眼下に見える。
キャビンの窓から外を見ると、大型のジェット機が1機、斜め前方にいた。空中給油機だ。
ヘリが進路を変え、空中給油機の真後ろにつく。ちょうど一直線になる。
そのままヘリは速度を上げて、空中給油機、KC-135は減速する。
互いの距離が近づいたところで、両機は一定の速度で付かず離れず飛行する。
キャビン内にジェットエンジンの轟音が聞こえる。
もちろん高度は変わらない。熟練した操縦技術あってこそのものだった。
( ,,゚Д゚)「こちらゴルフ12。レギュラー満タンで頼むぜ」
- 42 名前:642 :2006/08/13(日) 22:16:29.03 ID:jPs5JbKK0
-
「了解。速度及び高度を維持されたし」
KC-135の尾部から、ガソリンスタンドでいうところの給油ガンにあたるフライング・ブームが伸びてくる。
尾部の小窓から、ブーマーと呼ばれる操作要員が器用にブームを操作し、
ブラックホークの機首右にある給油プローブに接続する。そして航空燃料がブラックホークに補給される。
( ^ω^)「ドクッドクッ こんな給油機に給油されるなんて・・・」
( ゚∀゚)「くやしい・・・ビクッ」
川 ゚ -゚)「しめ殺すぞ」
アホを見たクーは拳を握り締める。
(;^ω^)(;゚∀゚)「すまんかった」
- 43 名前:642 :2006/08/13(日) 22:19:29.78 ID:jPs5JbKK0
- キャビンでのやりとりなど露知らず、無事に空中給油を終えたギコ。
給油ブームが外れ、KC-135が離れてゆく。
( ,,゚Д゚)「ゴルフ12、給油を感謝する」
「了解。武運を祈る」
そしてKC-135は大きく旋回し、やがて見えなくなった。
燃料を飲み込んだブラックホークは、ランリッツベルグ北西の空軍基地に急いだ。
- 44 名前:642 :2006/08/13(日) 22:22:10.10 ID:jPs5JbKK0
- 空中給油から2時間の後、ランリッツベルグ北西の空軍基地にチームVIPは到着した。
既に日は大きく西に傾いていた。
( ,,゚Д゚)「当機は燃料補給及び機体のチェックのため着陸いたします」
( ,,゚Д゚)「トイレにはいまのう
(*゚ー゚)「今のうちにお済ませください」
一同「了解!」
( ,,゚Д゚)(こ、こいつ・・・)
ドアを開けて数時間ぶりの地上に降り立つと、ブーンは大きく伸びをした。
体の筋が伸ばされて気持ちが良い。
- 45 名前:642 :2006/08/13(日) 22:22:44.21 ID:jPs5JbKK0
-
(∩^ω^)∩「うはー気持ちよすwwwwww」
ξ゚听)ξ「ブーン、集合よ」
( ^ω^)「おk、今行くお・・・・ん?」
(;^ω^)「なんでツンがここにいるんだお?」
気づけば、ブーンの後ろに、ヘリには乗っていなかったはずのツンがいた。
ξ゚听)ξ「定員オーバーだから飛行機で来たの」
( ^ω^)「ちょwwwwwww」
ξ゚听)ξ「エアコン効いててゆっくり休めたわ」
( ^ω^)「ウラヤマスwwwww」
ξ゚听)ξ「とにかく、大佐が呼んでるのよ。さあこっち来て」
(;^ω^)つ「腕引っ張るなおwwww」
ツンはブーンの腕を引っ張って、とある格納庫に向かった。
- 46 名前:642 :2006/08/13(日) 22:24:35.41 ID:jPs5JbKK0
- 広い格納庫の一角には、簡易なテーブルと椅子があった。ツンとブーン以外全員が既に着席していた。
/ ,' 3「今日は2人揃ってお出ましですか。ヒュー」
( ゚∀゚)「見せ付けるんじゃねえよヒュー」
ξ////)ξ「べ、別にそんな・・・」
('A`)「わかりやすい・・・」
/ ,' 3「ま、ヘリの旅ごくろうさん。とりあえず座ってくれ」
/ ,' 3「最終確認だ」
ブーンとツンは席に座り、皆が真剣な面持ちになっていった。
作戦時の顔だ。軽口を言い合う様子は微塵も無かった。
- 47 名前:642 :2006/08/13(日) 22:28:31.88 ID:jPs5JbKK0
-
/ ,' 3「30分後、この基地から出撃する」
/ ,' 3「まず部隊をクワシク拘束班と援護班に分ける。拘束班はリトルバード、援護班はブラックホークに分乗する」
/ ,' 3「目標は製薬会社跡地の3階建てのビルにいる。拘束班は屋上に強行着陸して突入、目標を拘束しろ」
/ ,' 3「援護部隊はビルの周辺を固めろ。中からの逃亡と外からの増援を防げ」
( ∵)「目標以外に拘束すべきものはいますか?」
/ ,' 3「いや、全員射殺しろ。アリ一匹逃すな。撤収時には火を放て」
( ∵)「了解」
- 48 名前:642 :2006/08/13(日) 22:30:53.69 ID:jPs5JbKK0
-
/ ,' 3「拘束したら東に向かい、小学校跡のグラウンドでブラックホークと合流、撤退だ」
/ ,' 3「拘束班はビコーズを筆頭にクー、ドクオ、ブーンだ」
/ ,' 3「援護班はジョルジュが指揮する。ここにはショボンとミルナ、ハインリッヒだ」
/ ,' 3「とにかく迅速にすることだ。時間をかけると敵が集まってくる。以上だ」
一同「了解!」
最終確認を終えると、隊員たちはそれぞれの準備を整え、突入に際しての手順や担当、援護する範囲や隊列などを設定した。
そして30分が過ぎ、格納庫の外に出る。外にはここに来るまでに乗ってきたブラックホークと、
タマゴにローターと尻尾が付いたようなとても小さいヘリが、既に周囲に風を起こしながら止っていた。
( ^ω^)「リトルバードktkr」
- 49 名前:642 :2006/08/13(日) 22:33:40.79 ID:jPs5JbKK0
-
MH-6J「リトルバード」は、もともと偵察用の小型ヘリである。その小回りの良さと、着陸場所を選ばない機体のサイズに
目をつけられ、特殊部隊の輸送用に改造された。機体の両脇に3人×3人を載せられるベンチシートを装備し、
機首直下には夜間や悪天候でも低空飛行が出来るようにFLIR(赤外線前方監視装置)が付いている。
ビコーズ達は2人ずつ左右のベンチシートに座り、機体から伸びる命綱を腰のカラビナに繋いだ。
ジョルジュ達の方を見やると、ブラックホークのキャビンに乗るところだった。
「こちらオスカー23、離陸する!」
リトルバードのパイロットが先に離陸させる。
10mほど浮いたところでブラックホークも離陸した。
大小2機のヘリコプターは南東の街、ランリッツベルグに向かって飛び去っていった。
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