( ^ω^) 内藤が六道をさまようようです
- 29 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 01:54:25.40 ID:julB/OmW0
- 内藤が修羅道へ落ちて数十年、内藤は生き延びていた
( ^ω^)「そんなチャチは力で僕を倒せると思ってるのかお!」
返り血を浴びた甲冑が空の色と同じ色に染まっている
「後生だ!許してくれ!」
両手に持った刀を横に構え、相手を突き抜ける一閃
「うぁ…かっ」
ズルッと言う音と共に男の首が落ちる
(;^ω^)「許してくれお、僕は…僕は生き延びなきゃいけないんだお」
内藤は目を瞑りながら動かない相手の腕を切り落とす
( ´ω`)「これだけはどれだけたっても慣れないお…」
体を震わせながら静かにその腕に噛み付く
なるべく味を感じたり嫌悪感が増幅しないうちに飲み込む
内藤の体で軋む音が鳴る
( ^ω^)「もう僕は人間じゃないのかお…」
亀裂が入った甲冑と兜を外す、そこには涙を流しながら笑顔を浮かべた鬼が居た
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 01:55:47.41 ID:julB/OmW0
- ( ^ω^)「僕の体はどんどん変わっていくお…」
少し濁った水で自分の姿を見て憂鬱になる
「シッ!」
金属同士が擦れ合う音が響いた
( ^ω^)「アンタ、卑怯じゃないかお?人が丸腰なのに槍で叩き切ろうなんて」
槍の穂先は内藤のど真ん中を切るルートだったが内藤は手甲で止めた
('A`)「人か…化け物じみた外見と感でよく言うよ」
青い洋鎧にハルバードを持った小柄な男が内藤の目の前に居た
('A`)「ったくよ、何が悲しくて人肉やら血やら飲み食いしなきゃなんねぇんだよ」
男が足元にある人の頭ほどある石を軽く蹴ると粉々に砕けた
( ^ω^)「…アンタここに何年いるんだお?」
('A`)「俺か?俺は…もう80年越えたあたりから数えるのやめたな」
- 31 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 01:56:41.03 ID:julB/OmW0
- そう言い終わるとハルバードを頭上で振り回し内藤の鼻先で止めた
(‘A`)「安心しな生憎俺は生前菜食主義者だったんでね、肉はあまり食ってないさ」
( ^ω^)「さっきまであんな動きをして良くそんな嘘が吐けるお」
先程からハルバードを1mmも動かさず男は笑顔を返す
(‘∀`)「悪いな、ここにくるまでは武僧だったのさ」
( ^ω^)「えらく昔の人なんだ…お!」
内藤は手甲を返しハルバードを絡めとり男ごと投げた
(‘A`)「やるねぇ、昔俺の寺に来た妖怪みたいだ」
空中で回転し男は何事も無かったのように着地する
( ^ω^)「僕は”人”だお」
地面に刺しておいた刀を抜き構える
(‘A`)「気に入った、俺が殺しても覚えておきたいから名乗りな!」
( ^ω^)「こっちのセリフだお」
二人とも含み足でじわじわと距離を詰めていく
(‘A`)「俺は毒男だ」
( ^ω^)「内藤ホライズン」
同時に走り出し同時に武器を振り上げた
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:04:35.67 ID:julB/OmW0
- 二人は無言で切り結ぶ
一合、二合、三合とどちらかが攻めればどちらかが弾くというのを繰り返していた
(‘∀`)「良いよ!アンタ最高に強い!今まで闘った相手の中でも一番だ!」
( ^ω^)「好きで強くなったわけじゃない…お!」
毒男がハルバードを振り上げた瞬間内藤が前蹴りで距離を離す
(‘A`)「っく!やるねぇ!」
弾き飛ばされた毒男が体制を建て直し前を向く
(‘A`)「…?」
そこには内藤の姿が無かった
「上だお」
声に反応し上を向くが毒男がハルバードで内藤を捕らえるより内藤の刀の一閃の方が速かった
不快な音と共に岩肌に叩きつけられる腕
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:11:08.69 ID:julB/OmW0
-
('A`)「まさか上とはねぇ…?」
片腕が有った場所を押さえつけながら毒男は言った
( ^ω^)「何十年も暇してたわけじゃないお」
('A`)「確かにそうだ、アンタにはそこらの雑魚とは違う何かがあるからな」
毒男が再びハルバードを持つ
('A`)「まだ終わらない、まだ闘えるさ」
( ^ω^)「もとよりそのつもりだお」
ハルバードを片手で持ち肩に担ぐ
('A`)(お師匠さんよぉ、俺はこんな化け物と闘ってるんだぜ?羨ましいだろ?)
( ^ω^)「おおおぉぉおお!」
('A`)「舐めるなよ!内藤ぉぉおお!」
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:16:35.73 ID:julB/OmW0
-
師匠!師匠!
( ´∀`)「コラ!私はお前の師匠であるまえに僧なんだぞ!ちゃんと―」
(‘A`)「俺がなんて呼ぼうと勝手だろ?」
幼い毒男の頭に拳骨が降る
(‘A`)「いてぇえええ!何すんだよ!」
(#´∀`)「お前も僧だ!私も僧だ!正しい言葉使いをしなさい!」
(‘A`)「師匠だって言葉遣い荒いじゃねぇか!」
(#´∀`)「なっ!」
あぁ…懐かしいな
- 42 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:25:40.46 ID:julB/OmW0
- ('A`)「そこだ!」
木製の槍をモナーへ向けて放つ
( ´∀`)「まだまだ遅いモナ!」
槍を手で捌き足払いをかける
('A`)「うおっ!」
倒れた毒男の頭にモナーの足が迫る
寺に轟音が響いて杉にとまっていた鳥達が羽ばたく
( ´∀`)「まだまだ修行がたりないモナ」
足は毒男の頭の横で畳ごと踏み抜かれていた
('A`)「…師匠…」
( ´∀`)「な、なんだモナ?」
毒男が真剣な顔をしていたのでモナーは驚きながら聞いた
('A`)「畳…買う金ないですよ?」
( ´∀`)「あっ」
寺には笑い声が響いた
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:33:53.29 ID:julB/OmW0
-
そんな日々が続き数年が立った
( ´∀`)「毒男、こっちへ来るモナ」
(‘A`)「は?…はい」
( ´∀`)「毒男…この頃都を騒がせる妖怪の話は聞いたモナ?」
(‘A`)「はい、噂程度ですが」
( ´∀`)「御上から妖怪討伐の命が下されたモナ」
毒男は唾を飲み込んだ
(‘A`)「討伐だったら御上の軍を使えばいい話じゃないですか?」
モナーはため息をつきながら首を横に振る
( ´∀`)「僧じゃないとダメモナ、法力が使えないとダメだし、それに…」
(‘A`)「それに?」
( ´∀`)「いや…なんでもないモナ、明日から討伐に赴くモナ、ゆっくり眠れモナ」
それだけ言うとモナーは部屋に帰った
- 46 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:40:58.09 ID:julB/OmW0
- 翌日二人は山を登って行った
( ´∀`)「ここいらに妖怪の巣窟があるはずだモナ」
('A`)「…」
毒男は気になっていた、モナーが隠し事をすることなんてありえない分余計に
( ´∀`)「ここモナね…」
その洞穴は禍々しい空気で近くの草花は皆枯れていた
( ´∀`)「毒男、準備はいいモナか?」
('A`)「はい」
モナーは手甲をはめ、毒男は錫杖を構えた
( ´∀`)「低級な妖怪には構わなくていいモナ」
('A`)「分かりましたモナー僧正」
二人は洞穴の中に駆け込んだ
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 02:50:06.89 ID:julB/OmW0
- 無限のように押し寄せてくる妖怪の群れをなぎ倒しながら進む二人の影
(#´∀`)「退くモナァァ!」
モナーは法力を込めた手甲で殴り飛ばし妖怪を消し去っていく
('A`)「…」
( ´∀`)「何をしているモナ!」
('A`)「!」
毒男の頭上に人間大ほどもある蝙蝠が襲い掛かって来た
('A`)「くっ!」
錫杖で牙を防ぐと横からモナーが蝙蝠を消し去った
( ´∀`)「何でボーッとしてるモナ!私はお前を助けてやれる余裕は無いのだぞ!」
('A`)「すみませんモナー僧正」
二人は妖怪の間を縫うように走り巨大な門の前へ来た
( ´∀`)「開いてるモナね、歓迎されてるモナ」
モナーは皮肉った笑いを見せる
( ´∀`)「行くモナ!」
- 49 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 03:02:40.52 ID:julB/OmW0
- 門に入った瞬間強烈な風が吹き付ける、そして門が閉じた
( ´∀`)「流石に親玉だモナ…一筋縄ではいきそうもないモナ」
('A`)「負けませんよ、俺と僧正で闘えば」
二人の視界には鬼が立っていた、その鬼は軽く10mはありそうな程大きかった
( ´∀`)「人を舐めてはいけないって事を分からせるモナ!」
('A`)「はい!」
モナーが手甲で足を打ち、毒男が鬼の体を駆け上り錫杖で顔を殴打した、しかし
( ´∀`)「効いてない…モナ」
鬼が目をモナーへ向けると同時に毒男がモナーの前へ立った
('A`)「僧正!危なっ」
言葉を言い終わる前に毒男は鬼の拳を喰らい門まで飛んでいった
( ´∀`)「毒…男ぉおおおお!」
モナーは咆哮しながら鬼へ走った
(#´∀`)「貴様は!私の弟子に向かって!」
もはや見えないスピードで拳を鬼の体と言う体に叩き込む
(#´∀`)「おおおおおおおぉ!」
渾身の一撃を入れようと拳を振り上げるのとモナーに鬼の掌打が当たるのは同時だった
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 03:11:04.66 ID:julB/OmW0
- ズンッと鈍い音がしたのを聞いて毒男は目を覚ました
('A`)「僧…正?」
毒男の目に写ったのは鬼の爪で腹部を刺されたモナーだった
('A`)「僧正ォ!うくっ!」
毒男の体はもはや動こうとしなかった、肋骨が肺に刺さり内臓も大分痛めた
('A`)「動け!体よ動け!僧正を助けるんだ!」
毒男は叫び続けた、するとモナーが手で毒男を制止した
( ´∀`)「やはりこうなったモナね…私たちでは鬼は倒せないと思っていた」
(;A;)「僧正!まだ僧正は生きてます!俺がその鬼を倒します!」
モナーは首にかけていた長い数珠を取り出した
( ´∀`)「今からこの鬼を私が封印するモナ…」
(;A;)「そんな事をしたら僧正が!」
モナーはニコリと笑った
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 03:25:18.40 ID:julB/OmW0
- ( ´∀`)「お前と過ごした十数年、楽しかった」
モナーは数珠を鬼の角に巻きつけ経を詠唱した
(;A;)「師匠ォ!いや父さん!」
毒男は涙を流し地面を掻き毟る
( ;∀;)「ハッハ!こんな駄目な父親がいるものか!お前が本当の息子だったら嬉しかったわ!」
(;A;)「うわぁああぁあ!」
( ;∀;)「喝!」
モナーが叫ぶと空間に裂け目が出来て、モナーと鬼を取り込んだ
そこで毒男はまた気を失った
3年後、毒男は怪我を完治させ都に来た
- 54 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 03:25:55.30 ID:julB/OmW0
-
「僧よでかした!」
烏帽子を被った男が歓喜の声を挙げる
(‘A`)「…」
「何が望みじゃ?金か?女人か?」
叶えられるのならば叶えてみろ
「まったく僧は強いのぅ!どうじゃ?わしの家来にならんか?」
(‘A`)「断る、俺は失った物が多すぎた」
「な、なんじゃ」
毒男が錫杖を構えたので男は身構えた
(‘A`)「お前の命を貰う!俺は破戒僧として罪を償う!」
毒男はそう叫び男を叩き切った
その2年後毒男は処刑された
- 56 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/20(日) 03:36:40.31 ID:julB/OmW0
- ('A`)「父さんよ…俺は強くなれたか?…償えたか?」
岩に背を預け両腕を無くし息遣いが荒くなっていた
( ´ω`)「毒男…」
('A`)「へっここは修羅道だ、情け躊躇は無縁の世界、何を迷っている?」
顔を真っ青にしながら毒男が笑顔を浮かべる
('∀`)「あーっやっと開放されそうだぜ」
( ´ω`)「何で…何で涙を流しているお?」
毒男の頬には涙が一線流れていた
('A`)「…嬉し涙さ…さぁ、ちゃっちゃと止めを刺したらどうだ?」
内藤は刀を手に取り合掌した
( ´ω`)「さよならだお…」
一直線に毒男の胸に刀を突き刺す
内藤は切った手を取り甲冑を着る
( ;ω;)「何で笑顔なんだお…!」
毒男の顔は子供のような笑顔だった
( ^ω^)内藤が六道をさまようようです
四章 了
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