( ^ω^)ブーンが鬼ごっこするようです
- 1 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 22:55:54.25 ID:GkW80QS30
- 昼の休み時間。
ある高校の日の当たる廊下を、1人の少年が駆け抜けて行く。
( ^ω^)「ドクオが鬼だお!みんな逃げるお!」
その言葉に続いて、何人もの少年が廊下を駆けていく。
明るい笑い声と共に。
('A`)「また俺かよ…ちくしょう、すぐに捕まえてやる!」
(;゚Д゚)「うおっ!意外とドクオ速ぇ!」
(=゚ω゚)「逃げるょぅ!逃げるょぅ!」
一層、笑い声が大きくなる。
走りまわる少年達の物。
そして、それを見て笑っている者達の声だった。
(*゚ー゚)「あはははっ……またドクオ君が鬼になってるよ……」
ξ゚ー゚)ξ「高校生になっても鬼ごっこって……あいつら、本当に元気よね……」
川 ゚ー゚)「うむ、良い事だ」
そんな風に幸せそうに微笑みながら、少女達は走る少年達をゆっくりと追う。
- 3 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 22:58:08.04 ID:GkW80QS30
- やがて、鬼ごっこの舞台は外へ移る。
もちろん、それの傍観者も外へ出る。
物陰へ隠れる者、単純に逃げる者。
頭を使って追い駆ける者、足の早さに物を言わせて単純に追い駆け続ける者。
それを見て、微笑む者。
普通の、幸せな光景だった。
(,,゚Д゚)「おらおらーっ!捕まえてやるぞーっ!!」
叫び混じりの笑い声。
乱雑な足音。
(,,゚Д゚)「待て待てドクオー!ブーン!」
(;'A`)「うぉっ!ちょ、またか!」
( ^ω^)「今日も僕は捕まらないおっ!」
そんな風に、全員が散り散りに逃げる。
そして――その幸せな空気は、急に壊される事になる。
- 5 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 22:59:50.73 ID:GkW80QS30
- (=゚ω゚)「捕まえてみろょぅ!」
そう叫んで、後ろを見ながら逃げる、ぃょぅという少年。
ぃょぅは、何かにぶつかって勢い良く転んだ。
驚いて、ぶつかった何かを確認する少年。
その瞳には、全身漆黒の服を着た男が映っていた。
黒い上着、黒いズボン、黒いブーツ、黒いマント、黒い帽子。
高校という場所では目立ちすぎる服装だった。
(;=゚ω゚)「あっ…すいませんょぅ…」
ぃょぅが転んだ事で、遊んでいたメンバーは全員、その男に注目した。
傍観者達も一人残らず、その男を怪訝そうな眼で見ていた。
男は、口を開く。
低い、どこか重圧のある声だった。
男「ククッ…捕まえてみろ、か」
ぃょぅがぶつかった時に叫んでいた言葉を、男は口にした。
その口を、男は嫌らしそうに歪ませる。
男「そうさせてもらおう」
- 10 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:03:05.77 ID:GkW80QS30
- そう言って、男はぃょぅの首筋に何かを当てた。
ひやりとした、鉄の感覚。
それは漫画やゲームに出てくるような、スタンガンだった。
ぃょぅを含め、遊んでいたメンバーは驚きの表情を浮かべる。
そして、恐怖からか動けない。
男「しばし、おやすみ」
そう呟いて、男はスタンガンを持つ手を動かす。
バチンっ…という音がして、ぃょぅは跳ねた。
スタンガンの衝撃で体が吹き飛んだのだ。
(;=゚ω゚)「ぃ…ぃぃぃょょ?」
ぃょぅは体を痙攣させ、意識を失う。
男はぃょぅを肩に担いだ。
痙攣を続ける体を、無理矢理に抑えつけて。
男「ククククッ…予想以上に簡単に、良さそうな実験体が捕まったな…」
そう呟いて、男は歩き出した。
信じられないという表情をして、少年達はそれを見る。
やがて、1人の少年が口を開いた。
(#゚Д゚)「ちょっと待てや…そこのおっさん!!」
- 11 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:07:18.00 ID:GkW80QS30
- そう叫んだのは、ギコという少年。
ギコの呼びかけに、男は足を止め、振り返る。
めんどくさそうな表情だった。
(#゚Д゚)「ぃょぅを放せよ。つーかアンタ…俺達のダチに何してくれてんだぁっ!?」
その言葉に、男は何でもないように言う。
男「あぁ、説明してなかったか。この少年…ぃょぅ君は、我々のちょっとした実験の為に役に立ってもらう。何、心配するな。「君達には」被害はない」
(#゚Д゚)「…はぁ!?」
男「それよりも、少年。痛い思いをしたくなかったら、これ以上関わらない事だ」
(#^ω^)「アンタ何言ってんだお?」
そう言て会話を遮ったのは、ブーン。
(#^ω^)「いきなり意味分からない事を言われても困るお」
男「あぁ……いや、やっぱり良い。説明がめんどうくさいし、君達は知らなくて良い事だ」
その言葉に、ブーンは足に力を込めた。
その男に走り寄ろうとした。
- 14 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:11:19.65 ID:GkW80QS30
- だが、それを止める者がいた。
少し落ち付けよ…タイミングを計れ、とブーンに耳打ちする少年。
ドクオだった。
('A`)「いやいやいや…おっさん、アンタ、これは立派な犯罪だって事くらい分かるよなぁ?」
ドクオは手を広げて、ブーンと一緒に少しずつ男に歩み寄る。
('A`)「何だったら今ここで警察に連絡してやろうか?」
そう言って、ドクオは携帯を取り出す。
('A`)「いざって時の為に、俺は電話帳の1番上に警察を登録してある。すぐに繋がるぜ、おっさん?」
男「クク…警察に言っても、信じてくれんし、話し合ってもくれんよ」
男は笑みを崩さない。
むしろ、更に口元を歪ませた。
男「私が警察に手を回してないとでも思ったか?」
(;'A`)「……あぁ?何言ってんd」
男「誰も助けてくれんよ」
- 16 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:16:39.06 ID:GkW80QS30
- (#゚Д゚)「っごちゃごちゃ言ってねぇで、さっさとぃょぅを返せつってんだゴルァァァァッ!!」
そう叫び、ギコは男に殴りかかった。
腰を半分ほど回転させ、勢いを付ける。
その拳は男のあごに向かって伸びていった。
男「クク…実験体は貴様でも構わないのだよ?」
慌てる様子もなく、男はギコの一撃を余った手で防ぐ。
パシンッという音がして、その手を掴む。
そして。
男「おらよっ!」
男はギコの腹に膝をねじ込んだ。
嫌な、鈍い音。
(;゚Д゚)「ぐぁっ…はっ…!!」
そううなって、ギコは吹き飛んだ。
地面をごろごろと転がって、意識を失った。
被害者が、2人に増えた。
ブーンもドクオも、そこで堪忍袋の緒が音を立てて切れた。
- 21 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:18:55.24 ID:GkW80QS30
- (#゚ω゚)「てめぇぇぇ!!」
(#'A`)「ふざけんのも大概にしろよコラ…!?」
そう叫んで、ブーンとドクオが走った。
一気に男との差が縮まる。
まず、ドクオが男にミドルキックをかました。
(#'A`)「しっ!」
その足は男の脇腹のコースに入っていた。
が、男はそれを肘でガードする。
足首の辺りに肘をねじ込まれ、足から力が抜けた。
(;'A`)「ちっ…!」
そう大きく舌打ちして、ドクオが離れようとする。
その時。
男「そうか、そんなに痛い思いをしたいか…!」
(;'A`)「うぐぁっ――!?」
男がドクオの首を掴んだ。
少しずつ、その指に力が入っていく。
- 23 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:23:27.19 ID:GkW80QS30
- (;'A`)「がっ…ぁ…!」
もちろん、ドクオも抵抗を試みる。
男の手の甲を全力で殴ってみたり、手首に攻撃してみたり。
それでも、その手は外れない。
(;'A`)「ぢくじょ…放ぜ…ばなせ……!!」
息が、続かない。
(#゚ω゚)「やめろお!ドクオを放せお!」
そう叫んで、ブーンが男の顔目掛けてハイキックをかます。
男「黙っていれば良いものを…」
そう言って、男はブーンに足払いする。
ハイキックをしようとしていたブーンには、その足払いを避ける方法はない。
ブーンは勢い良く地面に突っ込んだ。
もちろん、すぐに立ち上がろうとする。
だが、足首を痛めたのか…立ち上がる事は出来なかった。
足首が、熱い。
その熱さが、少しずつ広がっていく感覚があった。
- 25 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:25:22.65 ID:GkW80QS30
- 四つんばいになりながら、ブーンは男の足を殴る。
無意味だった。
関心を寄せる事すら出来ない。
振り払われて、それだけだった。
(;゚ω゚)「ドクオッ…!」
その間も、男はドクオの首を締め続ける。
男「クククククっ……苦しいか?クククッ……!」
(;'A`)「あ…………ぅ…………!」
もうドクオは、うなる事も出来なかった。
男の笑顔は、更に悪意の篭った物となる。
男「クククッ…死ぬ恐怖ってのを味わってみるか?ククククk」
そう言う男の手から、急に力が抜けた。
ドクオが解放される。
- 27 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:29:38.54 ID:GkW80QS30
- 地面に膝を付いて、ドクオは咳き込む。
(;'A`)「がはっ…げほっげほげほげほ……!」
そして、男を確認しようと目を向けると――。
男の腹に、一本のバタフライナイフが刺さっていた。
そのナイフを握っていたのは――さっきまで共に遊んでいた、ジョルジュ。
ジョルジュはドクオをちらりと見て、笑顔で頷いた。
(;'A`)「ジョル…ジュ…」
そう呟いて、ドクオは意識を失った。
ジョルジュはぐりぐりとナイフをねじ込む。
( ゚∀゚)「ただ刃物が好き…って事が、こんな風に役立つとは思わなかったなぁ…」
そう言って、ジョルジュはナイフを勢い良く引き抜く。
抜く時に嫌な音がした。
そして、ナイフが抜けるのと同時に男の腹から噴き出す血。
一旦、ジョルジュは男から距離を取った。
( ゚∀゚)「先公に注意された時に、ナイフは離さなくて正解だったなぁ…」
- 29 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:32:52.30 ID:GkW80QS30
- 男は腹を抑えて、膝をついた。
憎しみが混じった声で、憎しみがこもった視線を投げかけて、男は言う。
男「…貴様ぁ…!」
( ゚∀゚)「あぁ、動かない方が良いんじゃないか?このナイフは刀身が長めだからな、内臓を多少傷付けてるかもしれないぜぇ?」
そう言って、ジョルジュはナイフを回す。
銀色に輝く刀身を持つバタフライナイフだった。
( ゚∀゚)「ドラゴンクロウ…ヒューッ!やっぱりカッコイイねぇ!」
1人テンションが上がってるジョルジュを無視するように、男はゆっくりと立ち上がった。
( ゚∀゚)「お、まだやるか…!?」
そう呟き、ジョルジュはナイフを構える。
だが、男はゆっくりと校門に向かって歩き出した。
もちろん、ぃょぅは担いだまま。
(;゚∀゚)「あぁん?」
ナイフを回しながら、ジョルジュは不思議そうに呟く。
- 31 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:35:54.14 ID:GkW80QS30
- ( ゚∀゚)「オイオイオイオイ!ここで帰っちまうのかい!?帰るのは良いけどさぁ、ぃょぅだけは返してもらえるかなぁ!?」
そう言って、ジョルジュは男目掛けて走り出した。
ナイフを逆手に持ち、さきほどの傷と同じ位置を狙ってナイフを振るう。
だが―――。
男「邪魔だぁっ!!」
そのナイフは男の蹴りによって阻まれた。
1発目の蹴りで、腕が大きく弾かれ―――。
2発目の蹴りで、ジョルジュが大きく蹴り飛ばされた。
(;゚∀゚)「がっ…!」
そして、ギコと同じ様に地面を転がる。
(;゚∀゚)「あーっ…痛ぇなぁ…!」
やっぱり、立てない。
骨にひびでも入ったのかも知れない。
- 32 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:37:25.55 ID:GkW80QS30
- 男「…遊びすぎた様だ…もう時間がない」
そう呟いて、男はまた歩き出す。
そして、足を止めずに言った。
男「今ここで命がある事を感謝するんだな…クソガキ共……!」
そして更に、男は足を進める。
校門の辺りには黒い車があった。
男はそれに乗り込み、消え去っていった。
後の学校には、女子の声が響いた。
(;゚ー゚)「ギコ君!ドクオ君!ねぇ、大丈夫!?ねぇっ!?」
しぃと言う少女が、そう呼びかける。
もちろん、2人の意識は回復しない。
まもなく、先生が3人駆けつけて来た。
連れて来たのは、クーと言う少女。
川;゚ -゚)「…先生達を連れてきたが…遅かったか…」
(;゚ー゚)「いいえ、ありがとう」
すぐに先生達が騒ぎ始める。
保険医の先生が2人の先生に指示を出しているようだった。
すぐにギコとドクオは保健室に運ばれた。
- 34 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:42:29.56 ID:GkW80QS30
- ξ;゚听)ξ「ブーン…アンタ大丈夫?」
そう言いながら、ツンという少女はブーンに肩を貸していた。
(;^ω^)「僕は大丈夫だお…多分、骨までは行ってないと思うお…でも、ぃょぅが…」
ξ゚听)ξ「それは今、クーが先生に説明してる。良いからアンタは自分の心配しなさい…じゃあ、行くわよ?」
( ^ω^)「………分かったお」
そんな会話を終えて、ブーンも保健室に向かった。
一方、ジョルジュは―――。
(;゚∀゚)「俺は良いって!何にも怪我してないじゃんよ!」
保健医の先生に逆らっていた。
保「アンタ…多少でも腹痛めてるでしょ。ナイフの事は別に良いから…今回はそれでドクオが助けられたみたいだしね。アンタも保健室に来なさい!」
(;゚∀゚)「ナイフうんぬんじゃなくてさ!」
保「え?」
(;゚∀゚)「保健室、アルコール臭いじゃんよ!嫌いなんだあの臭い!」
その後、すぐにジョルジュは保健室に強制連行された。
- 36 名前:/ ,' 3 ◆DBHYHnpqCk :2006/08/24(木) 23:46:56.51 ID:GkW80QS30
- その後、そこには誰も居なくなった。
ただ、屋上に2人の少年がいた。
さきほどの騒動の間、ずっとそれを見ていた少年達だった。
2人は未だ動かずに、さきほど騒動が起こった場所を見つめていた。
(´・ω・`)「とうとう…来ちゃったみたいだ」
そう呟く少年はショボン。
( ・∀・)「…ここまで早くこの学校に来るとは思わなかったね。予想以上に自体は加速してるみたいだ」
そう呟くもう1人の少年はモララー。
(´・ω・`)「…まぁ、もう起こってしまった事だ。時は戻せない」
( ・∀・)「平和な生活も…これでお終いかぁ…」
(´・ω・`)「…まぁ仕方ない。どっちにしろ、いつかはこうなっていたんだ」
( ・∀・)「うん…じゃあ…まずは保健室に行こうか。ここで物語に参加できないなんて嫌だからね」
(´・ω・`)「…うん」
そんな会話を終えると、2人は屋上から降りる為の階段へと向かった。
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