( ^ω^)ブーンが高校バスケで日本一を目指すようです
618 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:10:48.66 ID:cnYIFCRQ0
「でっけー!!お前何cmだ!?」
「あ、いや・・・190っす。」
"でかいから"という理由で誘われたバスケット部
中学で既に190ある僕は、先輩達からも注目されていた。

バスケットは少し知っているだけだった。
ドリブルも上手くつけない僕だったが、初心者組みには入れてもらえず
2,3年と一緒の練習だった。
元々体力のない僕は、途中何度も休みながら練習していた。

「おい!ちゃんとドリブルぐらいつけ八頭身!」
ドリブルを失敗した僕をしかる3年生
「す、すいませ─
「コラァ!!一年いびりをするんじゃない!」
突如現れたその人は、髪が黄色の変わった人だった。

619 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:13:30.01 ID:cnYIFCRQ0
「おお!マネージャー乱入か!」
髪が黄色い人はどうやらマネージャーらしい。
「あーもう。一年には一年の練習をさせないと・・・」
「だってコイツ一年って感じしないし・・・」
「うるさい!」

黄色の髪の人は3年生を怒鳴りつけると僕の方に歩いてきた
「大丈夫、ドリブルなんて練習すればできるから。」
満面の笑みで話しかけたその人は、そのままどこかに行った。

これが、僕と1さんの出会いだった─

621 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:18:14.02 ID:cnYIFCRQ0
それから僕は毎日ちゃんと練習した。
黄色の髪のマネージャー。1さんに認めてもらうために。
身長が高い事をいかすようなプレイ。これだけを必死に練習した。
体力はあまりないけど、少なくともプレイ中だけは走れるようにした。

中体連。ついにこの大会がやってきた。
3年生は負けた時点で引退である。
まだ一年の僕だったが、元々少ない人数の部活だったのでユニフォームを手にすることが出来た。

初戦は、VIP北中。バスケでは有名な学校だ。
勝てるはずが無い。みんなそう思っていた。
僕も、そう思っていた。こんな弱小チームじゃ勝てない。と

そして、ついに試合は始まった

622 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:22:20.77 ID:cnYIFCRQ0
前半はあっけないものだった。
相手にカットされ、そのまま速攻をだされる。
こっちが特に何かできるわけではない。
完全にVIP北中のペースだった。

やはり、こんなものか・・・。
ベンチも既に盛り下がり、プレイヤー達でさえ、既に気力をなくしていた。
前半終了、残るは2つのQだけとなった。
休憩の間、特に誰もしゃべるわけでもなく時間が過ぎた
そして、ついに後半が始まった。



623 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:24:55.07 ID:cnYIFCRQ0
後半開始5秒。
あっという間にVIP北中は点を入れた
僕たちの戦意をなくすのには十分な攻撃だった。
だけど、たった一人大きな声を上げている人がいた

「あきらめちゃだめだ!絶対にあきらめちゃだめだ!」

1さんだ。
こんな状況でも1さんはプレイヤーの事を信じている
信じてくれている
僕は決心した。

624 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:27:22.06 ID:cnYIFCRQ0
「先生、僕を出してください」
先生は驚いたような表情を僕に見せた
「この試合、どうしても勝ちたいんです。」
「勝ちたいって…・お前……」
僕は黙って先生を見つめた
この試合どうしても負けるわけには行かない─

「選手交代です!」
オフィシャルが大きな声で告げる
僕はコートに足を踏み入れた

626 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:31:50.98 ID:cnYIFCRQ0
「先輩!あきらめちゃダメです!最後まで戦いましょう!」
自信なんてないけれど、僕はにこやかに笑った
僕の背中を押してくれる人が居る。僕を支えてくれる人がいる。
「……そうだな、そうだよな!」
「あやうくあきらめるとこだったぜ!」
「サンキュー八頭身!おっし!追い上げだ!」
先輩達の顔に、笑顔が戻った

「先輩!コッチです!」
ハイポストを取った僕はボールを要求した
中学で既に190ある僕が腕を伸ばせば、相手は届くわけもなかった。
ボールをもらってすぐに、振り向いてシュート。
練習で、いつもやってきた事だ
このシュートは・・・はずせない!

パスッ

ボールはリングに吸い込まれた。

628 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:36:03.47 ID:cnYIFCRQ0
「おし!お前らしかけるぞ!」
オールコートプレス。
相手がボールをだすところからディフェンスをしかける
ボールを持った相手には、2人がかりでボールを奪う
ウチの中学が最も得意とするディフェンスだ。

パァァン!

「ナイスカットです!先輩!」
「おっしゃ!いくぜ!」

・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・・


後半残り1分、ついに僕たちは試合を振り出しに戻した

630 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:42:06.38 ID:cnYIFCRQ0
「はぁ・・・・はぁ・・・・」
「大丈夫か八頭身・・・」
「大丈夫です・・・あと、一分で・・・」
「きたぞっ!」

パスッ

VIP北中がシュートを決める
残り40秒、2点差──
Gのキャプテンがボールを運ぶ

「どうする・・・時間をかけてせめても、まだ逆転されるには時間がある・・・」
残り30秒──
「延長に行ったら・・・間違いなく負けだ」
残り28秒──
「どうする・・・どうする・・・」

「先輩!!シュートです!!」
僕は思わず叫んだ
たとえ外れても、僕が必ずリバウンドを取る、取ってやる──

キャプテンは、大きくヒザをまげボールを放った

631 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 15:46:30.87 ID:cnYIFCRQ0
ボールは大きな弧を描いた
大きく、きれいな弧を。

パシュ

3Pラインの外側から放たれたそのシュートは
ネットを揺らした

残り時間25秒
49対48
僕らがこの試合、初めてのリードを奪った

636 名前:さるさん :2006/09/01(金) 16:08:15.13 ID:cnYIFCRQ0
「守れ!守れ!この一点は絶対に守れ!」
キャプテンが叫ぶ
「後20秒です!勝ちましょう!」
僕も叫ぶ

その時、VIP北中の4番がペネトプレイをしかけてきた。
「くっ」
抜かれる先輩。残るディフェンスはゴール下の僕だけとなった。

止まるか──それとも抜いてくるか──…

キュッ
4番は急にストップし、高く飛び上がった

このタイミングなら・・・・ブロックできる!!

※ペネトプレイ・・・選手が一人でつっこむ。

637 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 16:10:07.86 ID:cnYIFCRQ0
その時だった。
4番は急にバランスをくずした
抜かれた先輩が、4番を後ろから押したのだ
「なっ・・・」
バランスを崩したせいか、僕もブロックのタイミングをはずしてしまった。
4番は必死に空中でシュートを放つ
バランスを崩したまま・・・シュートを放つ

パスッ

シュートは決まった

638 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 16:14:20.16 ID:cnYIFCRQ0
残り時間4秒
49対50、さらにVIP北中のフリースロー一本

「す、すまん八頭身。完璧ブロックできていたのに・・・」
ファウルをした先輩が僕に謝る
「はぁ・・・はぁ・・・大丈夫です・・・これはずしたら、速攻だしますよ」
「お、おう。頼むぜ八頭身」

VIP北の4番がシュートを構える
一瞬の沈黙──そしてはなたれた

ガコンッ

シュートは外れ、ボールは八頭身と逆の方向に飛んでいく
「先輩!頼みます!」
完全にボールは先輩の頭上
これで速攻を出せる──
バチッ
ボールを手にしたのはVIP北中だった

640 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 16:15:16.51 ID:cnYIFCRQ0
ボールを手にしたVIP北の5番はシュートをはなつ

残り時間4秒・・・あとワンゴール

「ブロック・・・・」

ガクッ

八頭身は足元をくずした


ビーーー
試合終了のブザーが鳴る
僕は必死に顔を上げた

1さんが・・・・泣いている
あの元気な1さんが──

642 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 16:16:01.46 ID:cnYIFCRQ0


1 先 輩 ・ ・ ・ あ な た の 光 を な く す 事 が

一 番 怖 か っ た ん で す ──

643 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/09/01(金) 16:17:17.52 ID:cnYIFCRQ0
先輩達がブロックの邪魔をしなければ、勝てた
先輩の頭上に来たボールを取っていれば、勝てた
アンタらがもう少し頑張っていたらこの試合には勝てた
アンタらのせいで1さんの光をなくしてしまった
アンタラノセイデマケテシマッタ

バスケットは・・・チーム競技じゃない
一人でもできる。
仲間なんて信用した時点で負けだ
だから僕は・・・一人でも勝つ


終わり


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