ブーンが初恋の夢を見たようです(^ω^ )
142 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:09:08.69 ID:6/xFCd6B0
《最終話 そうしてまた回帰していく》

ξ゚听)ξ「クー! 早くっ」
川 ゚ -゚)「あー……待った待った」

東京駅の人通りの多さは異常だ
人波に紛れ込むように、私達は地方域のプラットホームへと急いでいた。

川 ゚ -゚)「電車は逃げないぞ」

ξ゚听)ξ「しかし発車する」

  _, ,_
川 ゚ -゚) 「……ふむ。確かに」

クーの編集部との作品の打ち合わせは午後で終わり、
一日私の家に泊まってから、
『大学は夏休みか。どうせなら一緒に帰らないか?』
と言う発言で、今は懐かしいvip町一緒に帰ることとなった。

ξ゚听)ξ「――どうなってるかな」
川 ゚ -゚)「変わってないぞ。相変わらず田舎の泥臭さがある」
ξ゚听)ξ「それはきっとクーがずっと近くにいるからよ」
秒単位の違いに人は気がつかないけれど、それが分刻み時刻みとなれば――
そう言う理屈。

川 ゚ ー゚)「はは。そうかもしれないな」

143 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:10:02.92 ID:6/xFCd6B0
階段を上がって、プラットホームに出る。
白塗りの塗装が所々剥がれた旧型の新幹線が一本。

ξ゚听)ξ「さっすが地方線。……金かけられてないねー」
皮肉を飛ばせば

川 ゚ -゚)「住めば都の自由席。ほら、早く行こう!」
立場が逆転していた。

ξ゚听)ξ「はいはい」
苦笑気味に笑ってから、スーツケースを引いて。
もう一度だけ空と地元行きの新幹線を見た。

『それはきっとクーが近くにいるからよ』

私の見知ったアイツは、アイツのままでいてくれているだろうか。
私が割かし知っているのは、3年前のアイツと言う事。

そして――――


『一番変わったのは内藤だろうな』


その言葉だけが不安要素。




144 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:10:39.58 ID:6/xFCd6B0
ξ゚听)ξ「――――……ついたぁっ!」
川 ゚ -゚)「到着」

ガラガラとコンクリートの上でスーツのコロコロが滑る音がする。
一方クーと言えば私と会った時に持っていた片がけ鞄一つ。

……無頓着すぎると思うわよ。

と移動中の新幹線内で言えば


クーは窓枠に頬杖着きながら
私が抱えているスーツケースを一瞥し

川 ゚ -゚)「3日の滞在予定なのにそんなパンパンに物を持っていくツンが異常なだけだ」

と一蹴されてしまった。

いや、ほ、ほら私枕替わると寝れないし!

川 ゚ -゚)「…………」
…………

川 ゚ -゚)「…………」
……ご、ごめんなさい。

そんな感じで。


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:11:09.46 ID:6/xFCd6B0
プラットホームに降り立って、腕を高く伸ばして伸びをする。
都会よりも幾分か涼しいと感じる風が前髪を撫でる。

ξ゚听)ξ「さて、着いたんだけど、どうする?」

背後に立っていたクーの方に首だけ向けて訊く。

川 ゚ -゚)「どうするとは?」

ξ゚听)ξ「クーは予定とかないの?」

川 ゚ -゚)「ああ、そう言うことか」

川 ゚ -゚)「私はとりあえず、打ち合わせした内容で
書き直したいシーンがあるんでな。自宅に帰ってから執筆活動だ」


おお、軽く感嘆符を漏らす


ξ゚听)ξ「さっすが大先生! 新作?」
川 ゚ -゚)「茶化さないでくれ。ああ、一応な」
ξ゚听)ξ「そっか。ね、どんなの?」


146 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:11:28.78 ID:6/xFCd6B0
私の言葉にクーがふいに笑った。そして顔を歪めて


川 ゚ -゚)「秘密」

さらに笑いを深めた。

ξ゚听)ξ「あー、秘密主義ですか?」
川 ゚ -゚)「秘密が多いほど女は魅力を増すそうだ」
ξ゚听)ξ「今でも充分クーは魅力的よ?」
川 ゚ -゚)「誉め言葉として受けとっておく」

笑いあい、冗談の混じった会話をして。
人の少ない改札口まで歩いて、

川 ゚ -゚)「明後日会えるか?」
ξ゚听)ξ「ん?」

川 ゚ -゚)「皆でショボンの店で定期飲み会の予定なんだ。ツンもどうだ?」
ξ゚听)ξ「いいの?」
川 ゚ ー゚)「ああ。勿論。反論は受け付けない」
ξ゚听)ξ「クー……」
川 ゚ -゚)「大先生の権力だ!」
職権乱用かい。

川 ゚ -゚)「住所は……わかるか?」
ξ゚听)ξ「バーボンハウス? ああ、お母さんに訊いてみれば解ると思うわ」
バーボンハウスって言ってる所よく見てたから。

147 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:11:45.39 ID:6/xFCd6B0
川 ゚ -゚)「ああ、じゃあ。明後日に」
ξ゚听)ξ「ええ。執筆頑張ってね、大先生!」

川 ゚ -゚)「茶化さないでくれ。ああ、そうだ、ツン」
ξ゚听)ξ「?」

別れ際、ごりょごりょとクーに耳打ちされる。


ξ///)ξ「……え、ああ。うん。……っ……いい、わよ」

承諾。

そんなこんなで別れた私達。



149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:12:54.40 ID:6/xFCd6B0
この夏実家に戻っている人、
もしくは戻る予定の人たちに言っておきたい。
実家の滞在時間は最長でも3日ぐらいにすべき。


「……へぇ、たった三日しか居られないの?」


ビックリしたような、残念そうな母の声が聞こえているけれど、
どうせそれ以上長く居座ったならば「早よ帰れ」とぶちぶち言うのだ。
少し残念に思われるくらいが丁度いい。本当に。

ξ゚听)ξ「うん、まあ……課題もあるし」
「そう。残念!」

うんうん。夕食が日を追ってグレードダウンしていく様子を
まざまざと実感しながら見るのは辛いしね。

「まあゆっくりして行きなさいな。お父さんは出張でいないけど」
ξ゚听)ξ「あ、そうなの?」

150 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:13:32.75 ID:6/xFCd6B0
「ツンが帰ってくること知ってたら両腕もがれても帰ってきそうだけどねぇ!」
いや両腕もがれてもて。


ξ゚听)ξ「……あ、そうだ母さん。バーボンハウスって知ってる?」


「ええ、勿論よ。……あの忌々しい連投規制っ!」


待て。どこに行く母の意識よ。


ξ゚听)ξ「バーよ。vip町にあるはずなんだけど……」
「知らないわよ?」
は……?


「……あ、でもね、それだったらタウンページで調べれば――」




151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:14:19.35 ID:6/xFCd6B0
ξ゚听)ξ「これだけ探しても見つからないって……どんなややこしい所に店構えてんのよ……」
商売する気あるの?

メモ帳を握りつぶしながら、私は現在進行形で迷っていた。
肝心の綱だった母がまったく見当違いのピアノ線だった為に、
明後日迷わないように一応下見して置こうとしてみればこれだ。

現在地が繁華街なのは解る。
しかしバーボンハウスが何処にあるのかが解らない。

ξ゚听)ξ「……どこにあんのよバーボンハウス!」

あー苛々する! 滅茶苦茶熱いし!
こんな田舎にもヒートアイランド現象!?
私の足は所在なくふらついている。

152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:15:05.08 ID:6/xFCd6B0

「……どうかしましたかお?」

後ろから掛けられた男の声。
あー、またナンパかい。馬鹿馬鹿しい。

眉を顰め、出きるだけ不機嫌そうな声をしながら

ξ゚听)ξ「ええ、道に迷って――――」

背後にいた男は呆然と私を見つめている。
生気の抜けたような顔。間の抜けた。3年前から少しだけ成長した――
いやいや、大人びた印象を受けるのは相手がスーツ姿なだけだからだ。
そうよ。絶対。うん、そうに決まってる。

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153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/11(金) 17:15:31.99 ID:6/xFCd6B0



ξ゚听)ξ「ブーン……?」 


そして。


また出会った。


色彩を取り戻すのは、掠れかけた夢の世界だろうか。
それとも――――――――


                ツンが初恋の夢を見たようですξ゚听)ξ


                 完  

                 第三部ブーン・ツン編に続くおっおっおっ!


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