('A`)ドクオが世界ではなく自分に従うようです
117 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 05:52:15.65 ID:5fa0aRuq0

小高いゴミの山を影にするように、ドクオはゆっくりと音のした方向を覗き込む。

('A`;)「(くぁwせdrf!!!!)」

そこにはリフトを襲ってきたタイプに似たような、人間よりふたまわりほど大きな戦闘用ディクがいた。

('A`;)「(さ、さっきのトリニティの奴か? い、いやもしかしたら単なる野良ディクかも・・・・・・)」

その個体を先ほどの襲撃のものと認めるならば近くにトリニティがいることを、
別のものと認めるならばこの工場が戦闘用ディクも扱うような工場だったことを認めることになる。
ドクオにとってはどちらにしろ、最悪に近い状況だった。
そんなことを考えていると、その人型ディクの足音は少しずつ小さくなっていく。
こちらから離れていくようだ。

('A`;)「(よ、よかった・・・・・・離れていくみたいだ・・・・・・。 ね、念のためどっちにいったか確認を・・・・・・)」

もう一度ちらっと見る。
ディクは奥の別の部屋に入っていくようだ。

('A`)「(・・・・・・ん? あのディクなんか、抱えて・・・・・・)」

先ほどは気づかなかったが、人型ディクはなにか白いものを抱えているようだった。
距離があったし、チラっとしか見なかったため確認はできなかったが、確かに何かを抱えていた。
大きな人形のようにも見えた。


嫌な、予感がした。



126 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:06:01.47 ID:5fa0aRuq0

('A`)「(まさか、な。 こんなところに人間がいるわけないし・・・・・・)」

('A`)「(でも・・・・・・もしかしたらあの積荷だったのかもしれないし・・・・・・)」

('A`)「・・・・・・」

('A`;)「一応、調べとくか・・・・・・」

偉くは成れないにしろ、早死にするタイプなのかもしれないな。
そう思いながらもドクオはディクの後を追うことにした。


128 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:17:27.89 ID:5fa0aRuq0

ドクオは隣の部屋の入り口をくぐり、すぐに入り口近くのゴミ山の影へと隠れる。

('A`;)「・・・・・・くそ・・・・・・」

悪い予感が当たった。

人型ディクが抱えていたのは・・・・・・、間違いなく人間だ。

ゴミ山越しに様子を伺う。
ディクの脇に抱えられているのは女の子のようだった。
白い服を着て、ぐったりとした様子でいる。
近くにトリニティがいる様子は無い。
やはり工場に住み着いている野良ディクのようだ。

('A`;)「(くそ・・・・・・どうしたらいい?)」


134 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:30:58.71 ID:5fa0aRuq0

少なくともドクオには正面から立ち向かって勝てるような実力は無い。
道具も剣と簡単な治療セットぐらいしか持ち合わせていない。

('A`;)「(・・・・・・)」

ディク「グォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!」

('A`;)「!・・・・・・うっ!?」

ドクオが思いあぐねているとディクは突然吼えた。
興奮しているのか、こちらに聞こえてくるほど息遣いが荒い。
それは同時にドクオがディクのすぐ近くにいることも表している。

川 ~-~)「う・・・・・・?」

('A`;)「(しまった・・・・・・、気がついたのか・・・・・・?)」

少女の様子が変わる。
先ほどのディクの咆哮で起きてしまったようだ。


136 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:35:00.96 ID:5fa0aRuq0

川 ゚ -゚)「う・・・・・・うーッ・・・・・・!」

ディクの腕の中で少女がもがき出した。
今、ディクは興奮している。 少女がいくらもがこうとそれは逆効果だった。

ディクは脇に抱えていた少女を手のひらに掴みなおす。
もともとどんな目的で捕まえていたのか分からないが、暴れる少女が鬱陶しくなったのだろうか。

('A`;)「(ヤバイ・・・・・・殺される・・・・・・!?)」

ディクの太い腕に力が入る。
なおも少女は暴れる。
それでもドクオは恐怖感に囚われ、動くことができない。

川; -;)「うーッ・・・! う、うーッ!」

少女の言葉に成らない叫びが聞こえた。
それと同時に―――ドクオの中で何かが弾けた。


138 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:36:26.08 ID:5fa0aRuq0

('A`;)「クッッ!!! うわぁああああああ!!!!!!」

ディクの方に駆け出す。
剣を握りなおす。
何ができるかなど分からない。
ただ少女を助けたいと思った。







声が聞こえた―――。

『友よ・・・・・・力ならば、足りないのならば、私がくれてやる……』

ドクオの中から何かが溢れ出した。


145 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:45:47.05 ID:5fa0aRuq0

駆け出した足が軽くなった。

剣を握る手に力が入る。




そして―――跳んだ。

剣を振る。

それだけで少女を掴んでいた手が切り落とされた。
腕と少女はそのまま地面へと落ちる。

地面を滑るように着地し、すぐさま振り向く。
今度は渾身の力を込めて、ディクの首を切り裂いた。
剣は振りぬけなかった。
それでも、首の半分までめり込んだ剣は、人型のディクを動かなくするには十分だった。

一瞬、我に返る。
震える手を離すと、人型のディクはドクオの前に倒れた。


149 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 06:59:34.80 ID:5fa0aRuq0

('A`;)「ハァ・・・ハァ・・・・・・な、なんだ・・・・・? 俺、なにやったんだ・・・・・・?」

ドクオは息を荒げる。
目の前には自分が倒した、はずのディクの死体。
まだビクビクと動いているが、首の半分までめり込んだ剣は明らかに致命傷だ。

('A`;)「わけ・・・・・・わかんないよ・・・・・・」

ドクオは呆然とする。

川; -;)「ケホッ・・・・・・ケホッ・・・・・・うー・・・・・・」

突然の声にハッと、我に返る。

('A`;)「あ、き、君・・・・・・、大丈夫・・・・・・?」


151 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 07:03:09.49 ID:5fa0aRuq0

さっきまでそこに倒れている豪腕に握り締められていたのだ。
目に見える怪我は無いが、下手をすると骨折ぐらいしているかもしれない。

川 ゚ -゚)「うー・・・・・・」

('A`)「ちょっとごめんね・・・・・・。・・・・・・こことか、痛くない?」

川 ゚ -゚)「・・・・・・」

少女は無言で首を横に振る。痛くは無いようだ。

('A`)「うん、骨とかは・・・たぶんだけど、大丈夫」

('∀`)「・・・・・・よかったね・・・・・・」

川 ゚ -゚)「・・・・・・」

川 ^ -^)「うー!」

少女は元気な笑顔を見せる。
どうやら本当に大丈夫のようだ。


152 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 07:11:58.24 ID:5fa0aRuq0

('A`)「ところで・・・・・・なんでこんなところにいたんだい?」

川 ゚ -゚)「・・・・・・?」

('A`)「(この子・・・・・・さっきから一言も喋らない・・・・・・もしかして・・・・・・)」

('A`)「君・・・・・・もしかして言葉が・・・・・・」

川 ゚ -゚)「・・・・・・うー・・・・・・」

少女は一瞬、悲しそうな顔をして、うなづいた。

('A`)「・・・・・・そっか・・・・・・」

('A`)「・・・・・・とにかく・・・・・・町に戻らないと・・・・・・」

川 ゚ -゚)「うー・・・・・・?」

('A`)「うん。 ここは危険だから・・・・・・はぐれないようについてきて」

川 ゚ -゚)「・・・・・・」


153 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 07:14:31.46 ID:5fa0aRuq0

少女はコクンと頷いた。

('A`)「・・・・・あ、そうだ。 君の名前は?」

('A`)「・・・ってゴメン。話せないんじゃ名前は・・・・・・」

そう言うと少女はふるふると首を横に振った。

川 ゚ -゚)「・・・クー・・・・・・」

('A`)「え・・・?」

ドクオは突然のことで少女の言いたいことが分からなかった。

川 ゚ -゚)「・・・・・・クー・・・・・・」

少女はで自分を指し示しながら、もう一度言った。

('A`)「君の名前? ・・・クーでいいの?」


155 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 07:15:59.42 ID:5fa0aRuq0

川 ^ -^)「うー」

クーは嬉しそうに頷いた。

('A`)「そっか・・・・・・」

('∀`)「よろしく、クー。俺の名前はドクオ」

川 ^ -^)「うー」

('∀`)「それじゃ、一緒に行こうか?」

川 ^ -^)「うー!」

ドクオは少女の手を取り、歩き出した。



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