('A`)ドクオが世界ではなく自分に従うようです
80 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 03:25:37.76 ID:5fa0aRuq0

('A`)「? なんだ?」

(´・ω・`)「どうかしたか?」

('A`)「いや・・・・・・なんか聞こえないか?」

ガタンガタンという車輪の定期的な音のほかに、遠くから何かズンズンという音が聞こえる。
しかも少しずつそれが大きくなってきているような気がする。
まるで何かが迫ってくるような・・・・・・。

('A`)「ショボン! あそこだ!」

(´・ω・`)「ああ・・・・・・クソったれ! <トリニティ>の奴かッ!」


81 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 03:28:42.04 ID:5fa0aRuq0

いつの間にかリフトから離れた場所で併走していうる物体が現れていた。
人間よりもふたまわりほど大きい、二足歩行の大型ディク。 先ほどから聞こえているのはソレが走る音だったのだ。
その上にはだいぶ小柄な、ディクに比べてだが、人間が乗って操縦している。
反政府組織<トリニティ>。 
反政府組織は数あれど、実際に破壊活動、強奪などを行う過激派はこの組織だけだ。
だからこそ襲ってきた場合もすぐに分かるし、その怖さもすぐに感じることができる。

(´・ω・`)「クソッ! こんなサードレンジャーの糞仕事にまで出張ってきやがって・・・・・・!」

('A`)「ショボン! 撃つぞッ!」

すぐ動ける体勢だったドクオはいち早くリフトに備え付けの機銃を連射する。
連続的に弾けるような銃声が辺りの坑道に鳴り響く―――。

(´・ω・`)「・・・・・・? 行ったか?」

('A`)「当たっては無いと思ったけど・・・・・・」

ひとしきり連射すると、ディクに乗ったトリニティはすぐに離れていった。
二人はあたりを見渡す。

('A`)「あんな簡単に普通引き下がるか・・・・・・?」

(´・ω・`)「・・・・・・! ドクオッ! 前だ!」



83 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 03:34:20.90 ID:5fa0aRuq0

ショボンの声に反射的に前を向く。
線路の前には先ほどのディクに乗った人間が、何かを構えて前に立っていた。

('A`;)「ロ、ロケットランチャー!?」

(´・ω・`;)「クソッ! どうしろってんだ!」

ドクオたちの様子をあざ笑うかのように、ポンッと軽い音が鳴った。

('A`;)「ヤ、ヤバッ!」

撃ちだされた弾丸は速度を上げて、接近し―――ドクオ達のリフトへと着弾した。



87 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 03:41:01.35 ID:5fa0aRuq0

ドゴンッ、と言う巨大な衝撃音。
ドクオの視界は途端に真っ白になる。
浮遊感。

(´・ω・`;)「ド、ドクオー!!!」

ショボンの声がした。
咄嗟にそちらの方向を向く。
ショボンが破壊された線路の端になんとか掴まっていた。

('A`)「ショ、ショボン・・・・・・」

息が苦しくて掠れるような声しか出ない。
何故かショボンがドンドン遠ざかっていく。
浮遊感は未だに続いている。
突然、意識がストンと落ちた。
自分が線路から投げ出され、その下に落下しているのだということをドクオは最後まで気がつかなかった。


90 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:03:49.36 ID:5fa0aRuq0

+++レンジャー詰め所・隊長室+++

(´・ω・`)「・・・・・・で、護衛中にトリニティに遭遇。 トリニティの攻撃により、線路ごとリフトは破壊され、残骸は線路の下に落下しました。 
その時の爆発でドクオ1/8192は線路から投げ出され落下したようです・・・・・・。生死は不明ですがその場所の谷は深かったため
おそらく死亡しているものと思われます・・・・・・」

ショボンは必死に詰め所まで戻り、落ち着かぬままその仔細を報告していた。

ゼノ「・・・・・・では、貴方は落下した貨物がどうなったか確認を怠った、ということですか?」

そんなショボンにゼノは冷静に言い放つ。


91 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:04:44.34 ID:5fa0aRuq0

(´・ω・`;)「そ、そんな! 俺だって命からがら戻ってきたんだ!
それにあの高さだ、貨物なんてバラバラになってるし、ドクオだって死んじまったに決まってるだろ!」

ショボンは必死に言い繕う。 実際、確認を怠ったのではなく、確認が不可能だったのである。
自分に非は無いとショボンは鷹をくくっていた。

ゼノ「貨物は機密性が高いものだと言った筈です・・・・・・。 貴方には貨物とドクオの生死の確認を命じます。
・・・・・・できなかった場合、上にそれ相応の報告がいくと思ってください」

((´・ω・`;))「な、なんだって・・・・・・! クッ・・・・・・」

ショボンはわなわなと震える。

自分に失敗は困る。 失敗など・・・・・・クズが行うものだ・・・・・。

ショボンは隊長室を後にした。 

92 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:15:10.22 ID:5fa0aRuq0


「俺は―――死んだのか―――」




('A`;)「ハッ・・・・・・」

ドクオは目が覚めた。

嫌な夢だった。

血溜まりの中に沈む自分。 動かない体。 朦朧とする頭。

ドクオは自分の体を触って確かめる。
どこも怪我はしてないし、痛くも無い。

97 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:31:20.13 ID:5fa0aRuq0

('A`;)「やっぱりただの夢か・・・・・・」

ドクオはほっとして息をはく。
そこで気づいた。

('A`)「アレ・・・・・・? なんで俺、こんなところにいるんだ・・・・・・?」

周りを見ると薄暗く、崖に囲まれていた。
そして近くには先ほど破壊されたリフトが無残な姿で転がっている。

('A`)「あ・・・・・・そうだ・・・・・・俺、さっき・・・・・・」

ドクオは上を見上げる。
線路を探してみたが全く見つけることができない。

('A`;)「やっぱ深かったのか・・・・・・よく無事だったな、俺」

もう一度体を確認してみる。
普通に考えたら確実に死んでいる高さだ。
それなのに傷一つ負っていない。
ただ、少し体を動かし見ると軽く筋肉痛のような痛みがした。

('A`;)「運がよかった、って思っとくか・・・・・・」


98 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:32:48.37 ID:5fa0aRuq0

('A`)「貨物もなんとか無事だったみたいだな。一応確認しとかないと・・・・・・」

機密性の高いものとはいえ非常事態だ。
持ち運べるものならなんとか持ち運んで、持ち運べないようであればせめて状態でも確認しておかなければいけない。
ドクオは近くに一緒に落ちていたリフトを調べようとした。

('A`)「? 開いてる」

リフトの上部にあったハッチのようなものが開いていた。 落下の衝撃で開いたのだろうか。
ドクオは訝しげに開いたハッチの中を覗く。

('A`)「あれ? 中身が無いぞ・・・・・・?」


101 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:36:11.45 ID:5fa0aRuq0

ハッチの中には何も入ってなかった。
入れ忘れかだろうか。いや、そんなことは無いはずだ。
ほかにも貨物がありそうな場所を探してみたが何も見つからなかった。

('A`;)「もしかしてトリニティが回収してったか? ・・・・・・まずいな」

ゼノ隊長にまたどやされそうだ。

('A`;)「仕方ないか・・・・・・。 こっちだって命がけだったんだし」

('∀`;)「ショボンの言うことじゃないけど、これ以上は上がりもしないし、下がりもしないしな、ハハハ・・・・・・」








orz

103 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:51:38.81 ID:5fa0aRuq0

('A`;)「・・・・・・ヘコんでても仕方ないや・・・・・・。 なんとかここから抜け出さないとな・・・・・・」

周りを見渡した、どこをどう見ようが断崖絶壁。
まずもって上れそうな場所は無い。

('A`;)「・・・・・・結構落ちてきたみたいだしな。 仕方ないか・・・・・・。なんとか坑道の入り口とか見つかればいいんだけど・・・・・・」

ドクオは早速、近くを探索してみることにした。


104 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 04:55:22.89 ID:5fa0aRuq0

('A`)「お? なんだ、意外とすんなり見つかったな・・・・・・」

ドクオはすぐに目的のものをみつけることができた。
崖に明らかに不自然な、人工的な横穴がある。
おそらく坑道かなにかを掘り進んでできた穴なのだろう。

('A`)「ふぅ・・・・・・ひとまずは谷底で餓死の選択肢は抜けたな」

('A`;)「(まあ、野良ディクに殴り殺される選択肢は残ってるけど)」

('A`;)「慎重に行くか・・・・・・」

ドクオは基本的にネガティブな思考が強い頭だった。


107 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 05:12:45.12 ID:5fa0aRuq0

ただ掘ったような横穴はすぐに終わり、途端に人工的な床や壁が現れた。

('A`)「・・・・・・廃棄された工場跡かなんかかな」

下層区の近くには廃棄された工場がいくつか存在している。
基本的に日曜雑貨や食料の生産を行うような工場が多いが、ディクの生産を行っていたようなところもちらほらある。 
そういった工場には未使用エリアに住み着いた野良ディクが多くなりすぎたため、、駆除し切れなくなったという工場もちらほらある。
食用ディクならばドクオはさほどててこずらないものの、先ほど襲ってきたような戦闘用の大型ディクになると別だ。
正直なところ、ドクオにはそういった類のディクを倒す自信は無かった。

('A`;)「・・・・・・」

剣を抜き、少し緊張した面持ちでドクオは進む。

109 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 05:26:42.77 ID:5fa0aRuq0

ドクオは、何かの処理施設だったのだろうか、大量のゴミが積まれた山がところどころにあるエリアを慎重に進んでいた。

('A`)「・・・・・・ッ!」

突然音がした。
咄嗟にそちらを向くと、右手前の小高いゴミ山の裏になにかがすばやく隠れた。

('A`;)「・・・・・・」

ドクオはドキドキと胸を鳴る心臓をなだめながら、近寄る。
剣を握る手に力が入る。
そして、ゆっくりとゴミ山の裏を覗き見る。

('∀`;)「ふぅ・・・・・・、なんだ」


111 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/22(火) 05:31:31.57 ID:5fa0aRuq0

確認してみれば何のことは無い。
先ほどの影はナゲットと呼ばれる食用のディクだった。
基本的には人間の膝くらいの大きさの毛むくじゃらの生き物の小型のディク。
稀に人間大の個体も確認されるが、ナゲットは本来おとなしいため、こちらが何もしなければ襲ってはこない。

('A`)「脅かすなよな・・・・・・」

ドクオはホッとする。 ナゲットがいたことでどうやらここが食用のディクの生産施設だという事が分かった。
食用ディクなら、確かに人を襲うような種類もいるが、それほど強いディクはいない。
ドクオでも十分に対処できる。

('A`)「安心したら、なんか腹減ってきたな・・・・・・。 早く帰還しないと・・・・・・」


突然、ズンズン、というような何かが歩くようなという音が聞こえてきた。

('A`)「・・・・・・?」

近くに何かがいるようだ。
それも小さなナゲットのようなものではなく、もっと大きな。
大きなナゲットの類だろうか?
ドクオは念のために、音が聞こえたような方を調べに行った。




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