('A`)がコンビニ店員になったようです。
22 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:28:05.52 ID:k0FfrX7o0

 ――――――ξ゚听)ξ「5よ!」―――――――


(´・ω・`)「ふーん。
     彼女とそんなことがあったとはねぇ。
     で、続きは?」

('A`;)「その後は、特に話すような展開はありませんでしたよ。
   それより、もうこれくらいで勘弁してくださいよ・・・。」


そう言って、俺は目の前のカウンターに置かれたテキーラに口を付ける。

酒は、あんまり得意ではないんだよな・・・・・・。

そう思いながらそれを飲み込むと、熱い液体が、喉を通り過ぎるのが感じられた。


24 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:30:03.36 ID:k0FfrX7o0
ここは、ショボン先輩の働くバー、「バーボンハウス」だ。

さすがに、一度は顔を出さないとまずいだろうと思い、
バイトの無い深夜に、俺はここに訪れた。

そこで、俺はこんな話をさせられている。


なんでも、ショボン先輩はあの夜の一部始終をコンビニの外から覗いていたらしく、
そのため、俺は、俺とブーンとツンの関係をしゃべらされることになった、というわけだ。

盗み聞きなんて趣味悪いですよ、先輩。

もちろん、そんなこと口に出して言えるはずもなく、
俺は、その言葉を飲み込んだ。


25 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:30:51.34 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「なかなか、面白い話だね。」


この方は、ショボン先輩のお兄さんで、
かつ、このバーのマスターであらせられるシャキンさんだ。

顔は、双子かと疑わせる程ショボン先輩とそっくりなのだが、
唯一、眉の形が違う。

釣り上がった眉が印象的で、利発そうな目鼻立ちとあいまって、
バーのマスターというよりも、一流企業のエリートサラリーマンといった風貌だ。

でも、ショボン先輩のお兄さんなのだから、
きっと、とんでもない人に違いない。


というわけで、このバーの中で俺は、
第一種戦闘配備(要するに、逃げる準備はいつでもOKということ)を解除することは無かった。



26 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:31:52.45 ID:k0FfrX7o0
(´・ω・`)「で、君はその子のことが好きだったんだろう?
      告白はしなかったの?」

('A`)「・・・・・・ヘタレなもので、結局しませんでしたね。
   それに彼女には、別に好きな人がいるだろうことはわかっていましたし・・・。」

(´・ω・`)「根性無いね。 ダメダメじゃん。」


ホント、その通りです。
ショボン先輩の言葉に俺がへこんでいると、シャキンさんが言う。


(`・ω・´)「告白するかしないかは、個人の自由だ。
     お前に、ドクオ君を批判する権利はないぞ。」

(;´・ω・`)「す、すみません、兄貴。」


そう言って、ショボン先輩は頭を下げる。


ショボン先輩が頭を下げているところなんて、はじめて見た。
やっぱり、シャキンさんはただ者ではないようだ。

それにしてもこの二人の会話、
兄弟の会話と言うより、やくざの親分と子分の会話だな。


29 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:33:07.97 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「しかし、ドクオ君。
     告白しないと、何も始まらないことは確かだ。」

('A`;)「は、はぁ・・・。」

(`・ω・´)「この人と、同じ時間を過ごしてみたい。
     この人の未来を、一番近くで見ていたい。
     もし君がそう感じるのであれば、告白した方がいいだろうね。
     まあ、人には事情というものもあるし、一概には言えないがね。」

('A`)「・・・・・・。」


シャキンさんの言うとおり、俺はツンと同じ時間を過ごしたかったし、
ツンの未来を一番近くで見ていたかった。

でも、俺には告白できない事情もあった。


30 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:34:13.11 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「だけど、それで君と彼女の関係が壊れてしまうかもしれない。
     それでも、一歩足を踏み出さなければいけないときが、男にはある。
     恋愛にしても、その他の事柄に関してもね。」


一歩足を踏み出さなければならないとき、か。
そんな場面、これからいくつ、俺に降りかかってくるのだろう?

カウンターに置かれたテキーラを眺めながら、
そんなことを考えていると、
後ろから、来店を告げる鐘の音が鳴った。


32 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:38:35.54 ID:k0FfrX7o0
(;^ω^)「おいすー。
     お使い、終わりましたお。」

(´・ω・`)「ごくろうさん。
     カウンターの裏に置いておいて。」


重そうな荷物を抱えて、ブーンはカウンターの裏に消えた。
しばらくして戻ってくると、俺の隣に腰掛ける。


( ^ω^)「シャキンさん、休憩もらいます。」

(`・ω・´)「ダメ。」

(´・ω・`)「休むと、アレやっちゃうよ〜。」

( ;ω;)「いやぁぁぁぁ!
     アレだけは、アレだけはいやぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


アレって、まさか・・・。

どうやら、ブーンの話通りの過酷な労働環境らしい。


33 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:40:44.70 ID:k0FfrX7o0
ブーンは、床の掃き掃除をしながら俺に話しかける。
どうやら、仕事をしながらであれば、ある程度のことは許されるようだ。


('A`)「ブーン、お前さっきまで何処に行っていたんだ?」

( ^ω^)「お酒の問屋さんに、荷物を引き取りに行っていたんだお。」

('A`)「ふーん、ご苦労さん。」

( ^ω^)「そんなことないお。
     ただ、問屋の人は顔に傷が入っていたり、
     指の本数が足りなかったりするけど、みんないい人だお!」


顔に傷? 指の本数が足りない!?
さらりととんでもないこと言うな、こいつ。




34 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:41:29.25 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「ところでブーン君。
     注文していた、銘酒『ひろゆきの涙』の本数が足りないんだけど?」

( ^ω^)「ああ、それについては問屋の人たちが、
     『どうしても注文された本数手に入れられなかったんだ。
     頼む! シャキンさんにはうまく口裏を合わせておいてくれ!』
     って言っていましたお。」

(`・ω・´)「ショボン。
     あとで問屋に行って、あいつらボコボコにしてきて。」

(´・ω・`)「はいよ〜。」


なんなの?この会話。


35 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:43:43.91 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「それにしても、そのお嬢さんの顔を是非見てみたいね。」

( ^ω^)「お? 何の話ですかお?」

('A`)「ああ、ツンの話だよ。」

( ^ω^)「あー、あの暴力娘のことかお。」

(´・ω・`)「写真ならあるよ。 はい、兄貴。」


そう言って、
ショボン先輩は一枚の写真をシャキンさんに手渡す。




36 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:44:21.01 ID:k0FfrX7o0
驚いた俺とブーンは、慌ててその写真をひったくる。

そこに写っていたのは、
コンビニで言い争いをしているときの、ツンの姿だった。


('A`;)「ショボン先輩!
   いつの間にこんな写真撮ったんですか!?」

(´・ω・`)「君たちの言い争いを盗み聞きしていたとき。」

(;^ω^)「おお!
     さも自分は悪いことなんかしていないという、純朴な顔でおっしゃる!」

(´・ω・`)「情報は、現代社会を生き抜く生命線だからね。
     君たちも、このことはよく覚えておくと良い。」



37 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:45:27.68 ID:k0FfrX7o0
すると、
いつの間にか俺の手から写真を抜き取っていたシャキンさんが、
その写真を見つめ、首を傾げながら呟いた。


(`・ω・´)「このお嬢さん、長岡組のキャバレーで見かけたな。」

(;^ω^)('A`;)「な、なんですとー!?」

(´・ω・`)「それは確かなのかい? 兄貴。」

(`・ω・´)「間違いない。
     これほどの器量の良い女性を、見間違えるはずはない。」


信じたくはなかった。
あのツンが、そんなところで働いているなんて・・・。

しかし、それならツンのあの濃い化粧にも納得がいく。


38 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:47:47.61 ID:k0FfrX7o0
(;^ω^)「す、すいませんお!
     今日は早上がりさせてもらいますお!」

そう言うと、ブーンはバーボンハウスから飛び出していった。

('A`;)「ちょ、待てよ!
すいません、俺も失礼させてもらいます!」


そう言って、ブーンのあとを追って飛び出そうとしたとき、
ショボン先輩が俺に向かって何か投げた。

かろうじてそれを受け止めると、ショボン先輩が言う。


(´・ω・`)「それを持って行きな。
      手ぶらで行くよりはマシだろう。」

('A`;)「な、何ですか? この丸い玉・・・。」

(´・ω・`)「目つぶし目つぶし。
     中国マフィア御用達のものだよ。」


この人、何でこんなものを持っているんだ?
そんな疑問が頭に浮かんだが、まずはブーンを追うことが先決だ。

俺は目つぶしをポケットに入れ、バーの扉に手をかける。


40 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/09/08(金) 19:48:57.32 ID:k0FfrX7o0
(`・ω・´)「キャバレーは、ラウンジ通りにある『おっぱいうp』って名前だ。
     ブーン君も迷っているだろうから、早く行ってあげなよ。」


何ともまあ、いかがわしい名前のキャバレーだ。
これは本格的にやばいかもしれない。

ブーン、早まるなよ!

俺は、勢いよく扉を引いた。


(;^ω^)「あのー、キャバレーの場所って何処ですかお?」


扉の前にはブーンが立っていた。
お前、まだ行ってなかったんかい。



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