('A`)がコンビニ店員になったようです。
24 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:03:22.93 ID:GTK4CwVR0
第1部:「ドクオとブーン」


 ―――――――( ^ω^)「1だお。」――――――――-


俺が、コンビニにアルバイトとして入店して、はや2ヶ月がたった。
今夜も俺は、いつのもように、バックスペースでタバコを吸っていた。

目の前にあるモニターが、店内の閑散とした様子を映し出している。


深夜のシフトは大体一人ではいることが多いので、
バイトでは、俺はいつも一人だ。

仕事が大方片付いてしまった後や、客が店内に一人もいないときには、
俺はこうして、バックスペースでタバコを片手に雑誌を読みながら、モニターを眺めている。


26 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:05:03.78 ID:GTK4CwVR0
楽なバイトだと思うかい?


悪いが、実際、楽だ。


普通の生活を送っている人にとっては、この深夜の時間はきついだろうと思う。
それは深夜という、通常人が寝ているべき時間に働いているというのが唯一の理由だろう。

しかし、昼間に何もすることの無い俺は、生活時間を自由にずらすことができる。
だから、その唯一のきつい理由が、俺には該当しない。

そのため、俺にとって、このバイトはかなり楽なものであった。


27 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:07:02.03 ID:GTK4CwVR0
やがて、来店を知らせる電子音が店内に鳴り響いた。

時計を見ると、深夜4時をさしている。
こんな時間に来るのは、夜のお仕事の人間か、よほどの暇人しかいない。

モニターを見た。

深夜だというのに、そいつは元気な様子で扉を開けた。
俺は、後者の人間のご来店に拍子抜けした。


なぜ、それがわかるのかって?
それは、そいつがこの時間の常連で、俺の友達だからさ。

俺は、バックスペースから出た。
閑散とした店内に、特徴のある笑い声が響く。

俺が、「やっぱりか」と思いながら、
店内の雑誌のコーナーに向かうと、いつものように、そいつはいた。


28 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:08:08.02 ID:GTK4CwVR0
( ^ω^)「おっおっお。
     サムデーはおもしろいおwwww」

('A`)「お客様、雑誌の座り読みはご遠慮ください。」

( ^ω^)「硬いこと言うなお〜。
     せっかく親友がこんな時間に会いに来たっていうのにお〜。」

('A`)「俺に会いに来たんじゃなくて、ただ単に暇だったから来たんだろうが。」

( ^ω^)「結果医師おもすれwwwwwwwwww」

('A`)「人の話を聞け、ニート野郎。」



30 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:10:55.91 ID:GTK4CwVR0
一通り雑誌を読み終えたブーンは、さも当然のようにバックスペースに入ってきた。

バックスペースは、通常、客は立ち入り禁止。

しかし、深夜のこの時間は客もほとんど来なくて暇なので、
話し相手として、俺はブーンをここに入れている。
そこで、いつものように、他愛の無い話に花を咲かせる。


まじめに仕事をしろって?

まあ、客が来たときにはまじめに対応しているし、
仕事だって、やるべきことは全部ちゃんとやっているから、大目に見てくれよ。


31 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:11:39.80 ID:GTK4CwVR0
ブーンは、俺と同い年の19歳で、今年で20歳になる。

そんな、成人へのカウントダウンがなされる年齢にもかかわらず、
こいつは学校にも行っていないし、職にもついていない。
いわゆる、「ニート」と呼ばれる人種だ。


そんなブーンと話していると、電子音が鳴り響く。

客だ。

俺は話を中断し、
「いらっしゃいませ。」と口にしながら、店内に出た。


32 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:13:57.75 ID:GTK4CwVR0
客が帰り、俺がバックスペースに戻ると、ブーンはタバコを吸っていた。
珍しいその光景を、俺はニヤリと笑みを浮かべながら見ていた。

ブーンが、煙を肺に吸い込む。
すると、ブーンの目が見開かれ、鼻の穴が広がる。

きっと、木の実の渋いところを集めて練り合わせて食べたら、今のブーンの表情になるだろう。


(;^ω^)「ゲフン、ゲフン、アナル!!
     ドクオ、よくこんなもの吸えるお!!」

('A`)「慣れだよ、慣れ。」

( ^ω^)「高校のときはあんなにまじめだったのに・・・・・。
     こんなもの吸う子になっちゃうなんて、母ちゃんは悲しいお!!」

('A`)「そりゃスマンかったwwwww」



そこから、普通は高校時代の話で盛り上がるのだろう。
しかし、俺たちは、話をその話題にはつなげなかった。


それは、高校時代にはあまり思い出したくない過去があることを
お互いに知っているからだ。


34 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:14:59.65 ID:GTK4CwVR0
やがて、時計の針が5時を指した。

これから徐々に、客が増えてくる。

そのことを知っているブーンは、
朝食(ブーンにとっては夕食?)を買うと、おとなしく帰っていった。


36 名前:78 ◆pP.8LqKfPo :2006/08/31(木) 23:16:10.64 ID:GTK4CwVR0
6時になった。

早朝のシフトであるおばさんたちへの引継ぎが終わると、
俺は、廃棄の中から野菜ジュースと他2〜3品選んで、コンビニの前の公園に向かう。


いつもの公園のベンチに座り、
野菜ジュースを片手に、タバコを吸う。
これが、すっかり俺の習慣になってしまった。


タバコを肺に吸い込む。

うまい。

やはり、最初の一口は最高だ。
その後はただクソ不味く、体がだるくなってしまうだけだけど。


肺に吸い込んだ煙を、空に向かい吐き出す。
5月の早朝の空は、明るくて、淡い青色をしていた。



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