( ^ω^) はあそびにんのようです
- 8 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 02:59:51.32 ID:+kc1dhmN0
- ( ^ω^) 「野いちごうめえwwwwwwwwww」
その日、ブーンは森へと足を伸ばしていた。
ブーンは16歳。そろそろ成人として認められ、船を一艘任されても良い頃である。
( ^ω^) 「……はあ。今日も雑魚一匹捕まえられなかったお」
夏草の茎を噛みながら、ブーンは溜息をついた。
彼は村の落ちこぼれだった。
何をやらせても要領が悪く、人より何倍も時間が掛かってしまう。
そんな自分に嫌気がさして、只でさえ遅い仕事も雑になる。
成人の儀など夢のまた夢だった。
最近では親もあきれ果てたのか、ブーンに何も言わなかった。
- 9 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:00:23.52 ID:+kc1dhmN0
- ( ^ω^) 「どうして僕はこうなんだお……」
( ^ω^) 「ま、いっか。うめえwwwwwwwwwwwwwww」
再び野いちごを頬張ると、ブーンはごろりと寝転がった。
( ^ω^) 「なんもかんもやる気がでないお。寝よう」
目を瞑ると、初夏の風が心地よく鼻をくすぐった。
柔和な風。繁茂する夏草の清明な匂い。
意識はすぐに眠りへと引き込まれていく。
そして、時は過ぎ――……
- 10 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:01:18.89 ID:+kc1dhmN0
- ( −ω−) 「……なんだお… 焦げ臭い……」
( −ω−) 「焼肉にしては熱いお…… カーチャン、火が強すぎだお……」
?「おいッ!寝ぼけてんじゃねえぞ、ゴルァ!!」
( −ω−) 「……なんだお… ん?この匂い……」
ブーンの鼻がひくりと動く。
次の瞬間、弾丸のように彼は飛び起きた。
( ゜ω゜) 「ユッケ!!」
殆ど本能的にブーンは目の前へ踊りかかる。
希少なユッケを確保するための、それは反射的な動きだった。
- 11 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:01:51.58 ID:+kc1dhmN0
- 直後、
「キシャアアァアアッ!!」
響いた断末魔が、ブーンの鼓膜を激しく打った。
(;^ω^) 「な…… ど、どうしたんだお……! くさっ!草クサッ!!」
ユッケの匂いに飛び出したブーンは、下生えの上に投げ出されていた。
つんと鼻を突く青臭さと、そして――
( ゜ω゜) 「!!」
振り返った目に入ったのは、巨大な異形の死体だった。
長すぎる舌をでろりと口腔から垂れ流し、明後日の方向を向いたまま、断続的に痙攣している。
- 12 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:02:46.15 ID:+kc1dhmN0
- ( ゜ω゜) 「う、うおおおおおッ!!」
魔物 ――
久しく見る事のなかったモンスター。
血が間欠泉のように噴出したのを最後、獣の長い断末魔が夜気を鋭く切り裂いた。
ユッケだと思ったのは、血と、生肉の発する匂いだった。
たまらずブーンはえずいた。野苺は出てこず、臓腑を押し上げる苦い液ばかりが彼の舌を汚した。
?「おい、しっかりしろ!お前…レーべの村の人間か?」
( ^ω^) 「……、、 お…?」
?「俺の顔がわかるか?指何本出してるか、言ってみろゴルァ」
パチパチとはぜる松明の音が、影を照らす。
眦の釣りあがった目。気の強そうな口元。
幼さをそこかしこに残しながらも、良く鍛えられた体。
ざんばらに伸びた黒髪を、銀のサークレットで無理やりにまとめている。
凛々しい…と言うには少し荒々しさが勝る、それは少年だった。
ブーンと同年代に見えるが、その力は天と地ほどにも違いそうだ。
- 13 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:03:25.03 ID:+kc1dhmN0
- ( ^ω^) 「さ、三本ですお!!」
( ゚Д゚) 「よし、正気だな。――お前、剣は使えるか!」
(;^ω^) 「はっ…… はあ!?」
( ゚Д゚) 「説明してる暇はないぞゴルァ! ッ、、 来たッ!!」
尻餅をついた侭のブーンは見た。
電光石火で振り返った少年が、一刀の元に巨大な鳥を切り捨てるのを。
( ゜ω゜) 「・・・・・・・」
( ゚Д゚) 「来いッ!くそッ、大陸全土にあふれ出したとはな!」
- 14 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:04:04.83 ID:+kc1dhmN0
- ブーンは何も考える事ができなかった。
こいつは誰だ?これは一体なんだろう。何故僕は――…
がむしゃらに足を動かしながらも、断片的な思考だけが脳内を支配する。
少年の操る馬に無理やり押し上げられたところで、初めてブーンは抗議の声を上げた。
(;^ω^) 「ちょ、ちょっと待つお!こりゃ一体何だお! …どわあッ!!」
( ゚Д゚) 「舌ァ噛むぞ!命が惜しけりゃ黙っとけゴルァ!!」
( ゜ω゜) 「ふぉ、ふぉおおおおおおッ!!」
( ゚Д゚) 「畜生、間に合ってくれよ…!」
- 15 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:05:35.94 ID:+kc1dhmN0
- (;^ω^) 「あんた、誰なんだお…!一体これはどう言うことなんだお!!」
( ゚Д゚) 「……後ろ、向いてみろ」
( ^ω^) 「後ろ?アリアハンの方角かお……」
少年の操る馬は、森を抜け出して草原をひた走っていた。
ブーンは少年に振り落とされぬよう、慎重に後方を振り向き、絶句した。
- 16 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:06:06.79 ID:+kc1dhmN0
- ( ゜ω゜) 「あ、アリアハンが!アリアハンが燃えてるお!!」
( ゚Д゚) 「……魔物の奇襲だ。防戦はしているが、奴らのレベルが今までとは違いすぎる……」
( ゜ω゜) 「どどどどどうすりゃいいんだお!!アリアハンはこの大陸の守りの要だお!!」
( ゚Д゚) 「うるせえ、黙ってろ!」
(;^ω^) 「……オルテガ様がいればこんな魔物、一網打尽なのに!!うおおん!!」
驚愕がブーンの全身を覆った。どっと冷や汗が溢れ出る。
幼い頃から聞かされていた英雄譚にすがるのも無理からぬ事だった。
- 17 名前:アリアハン〜レーベ :2006/08/21(月) 03:06:37.63 ID:+kc1dhmN0
- ( ゚Д゚) 「・・・・・・」
(;^ω^) 「どわああッ!!あ、危ないお!!いきなり馬ウィリーは禁物すぎるお!!」
(; ゚Д゚) 「・・・ああ。すまねえな。ちょっと、な…」
(;^ω^) 「ともかく、は、はやくレーベへ向かってくれお!カーチャンが、村の人が…!!」
悲痛さの混じる自分の声に気圧され、ブーンは口をつぐんだ。
空は明るかった。さえぎるものの無い筈の闇は、今や炎の絨毯を敷き詰めて赤い。
たちまち光源を変えて行く空に、ブーンは奥歯をかみ締めるばかりだった。
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