( ^ω^)ブーンが魔獣使いになるようです
- 4 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/10(日) 23:52:58.04 ID:8pl9RP6gO
- ( ,,゚Д゚)「ハァ……ニダーの野郎……やっぱりか……」
ギコがうなだれながらそう呟き、首を横に何度か振った。
ニダーとは支部にいた受付のことなのだろう。
この諦めたような反応から見るに、既に相当な回数騙されているのだろう。
(;^ω^)「あの……ギコさん」
内藤がギコに対し、控え目に話し掛ける。
( ,,゚Д゚)「ああ、お前か、忘れてたわ」
ギコは首を傾けたまま内藤の方へと顔を向ける。
(;^ω^)「ちょwwwヒドスwww」
- 5 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/10(日) 23:58:22.22 ID:8pl9RP6gO
-
( ,,゚Д゚)「俺は奴らを巣ごと潰すから、お前は村の警護を頼む」
そう言ってギコは内藤の肩をポンポンと叩いた後、自分の頬を何度か叩いた。
( ,,゚Д゚)「おしっ、行くぞゴルァ!」
どうやら、気合いを入れる行為だったらしい。
事実、さっきまでとは違いその身体からはオーラのようなものさえ感じ取れる。
(;^ω^)「ギコさん?」
再び内藤は控え目に話し掛ける。
- 6 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:03:23.60 ID:KZl70vemO
-
( ,,゚Д゚)「ん?何か用かゴルァ?」
ギコは不機嫌そうに答える。
足踏みをして、今すぐ出発したそうにしている。
(;^ω^)「武器もないのにどうやって村を守れっていうんだお?」
もっともな質問だ。
確かに内藤は武器を持っていない。
素手で魔獣を倒す魔獣使いもいるらしいが、内藤がそんな技能を持っているはずもなかった。
( ,,゚Д゚)「しょうがねぇなあ、ほらっ」
ギコは一瞬呆れたような顔をしたが、すぐにもとに戻し、腰に差してある剣を
内藤に向け軽く投げる。
内藤はそれを落としそうになりながらもしっかりと受け取った。
- 8 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:12:02.18 ID:KZl70vemO
- ( ,,゚Д゚)「大事に使えよゴルァ」
ギコはそう言うと再び村の外へと歩き出していく。
( ^ω^)「ギコさんの武器は……」
内藤の心配を拭うかのようにギコは短剣を上に上げ太陽の光に反射させた。
- 9 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:14:31.46 ID:KZl70vemO
- 木々の合間を抜けた光が大地を照らし、所々で鮮やかな緑を示している。
そして、穏やかな川のせせらぎの音が森の中に何とも言えないふいんき(ryを作り出していた。
( ,,゚Д゚)「確か、あの村長の話だとここら辺だなゴルァ」
ギコは確認するかのように呟く。
その右手には銀色の短剣がその存在を誇示するかのようにギラギラと輝いている。
( ,,゚Д゚)「それにしてもおかしいなゴルァ」
- 10 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:16:33.04 ID:KZl70vemO
-
ギコは鼻を何度かひくつかせた後に首を傾げた。
( ,,゚Д゚)「妙だな……嫌な予感がするぞゴルァ」
ギコは突如、走り出す。
その顔には不安が浮かんでいる。
木々がまばらになっていく。
ギコの前に広場のようなものが現れる。
広場の向こうにはそれほど大きくない川が流れていた。
広場の真ん中は窪んでおり、ギコがいる場所からでは何があるか分からない。
ギコは短剣を構え、ジリジリと窪みに近付いていく。
( ,,゚Д゚)「おいおい、本格的にヤバイなゴルァ」
- 11 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:17:47.27 ID:KZl70vemO
- ギコは窪みの前で足を止め、そこを見下ろす。
そこには家畜のものであろう骨だけが散乱していた。
( ,,゚Д゚)「クソッ、チンポッポ!村に戻るぞゴルァ!」
少し離れた木の上からチンポッポがギコの側まで飛び降り、その身を屈める。
ギコはチンポッポの背中に飛び乗る。
チンポッポはギコが乗ったのを確認し、二、三度後ろ足で地面を蹴ったかと
思うと疾風のように走り出した。
周りの木々が凄まじい速さで後方に消えていく。
( ,,゚Д゚)「間に合ってくれよゴルァ……」
- 15 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 00:37:57.01 ID:KZl70vemO
- ( ´ω`)「ハァ……何でこんな所に来てしまったんだお」
内藤は肩を落とし、崩れるように民家の壁に寄り掛かった。
( ´ω`)「確かに人助けをするのはいいけど……」
内藤は深い溜め息をつく。
その身体からは負のオーラが滲み出ていた。
( ´ω`)「もうちょっと心の準備が……」
( ´ω`)「それにあんな奴の下で動くのも……」
再び内藤は深い溜め息をつき、地面にへたりこんだ。
頭を垂れ、ブツブツと独り言を呪文のように呟いている。
瞳を閉じ、再度溜め息をつく。
( ´ω`)「何か疲れたお……」
そして、内藤はそのまま闇に落ちていった。
- 22 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 01:05:16.91 ID:KZl70vemO
- 突如、内藤の足に鋭い痛みが走る。
( ゚ω゚)「アッーーー!」
内藤は叫び声と共に目を覚ます。
目の前には小石を持った少年が邪悪な笑みを浮かべて佇んでいた。
(#^ω^)「何するんだお!」
そう叫び内藤は勢いよく立ち上がる。
そんな内藤に臆することもなく、少年は舌を出し内藤を挑発している。
(#^ω^)「こぉんのクソガキがぁ!」
内藤は顔を怒りに歪めながらゆっくりと少年に近付いていく。
しかし、少年は内藤なんて怖くないのか内藤に小石を投げつけ、向こうへと
走り去っていった。
⊂二二二(#^ω^)二二⊃「逃がさないお!」
内藤は両腕を広げる独自のポーズをしながら、少年を追った。
- 26 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 01:32:48.43 ID:KZl70vemO
- (#^ω^)「待つお!」
内藤は少年を追いかけるが、民家と民家の細い道や生垣の小さな隙間を通る
少年になかなか追い付けないでいた。
(#^ω^)「これじゃらちがあかないお」
内藤は走るのを止め、目を閉じて作戦を練る。
( ーωー)「ぽくぽくぽくぽく」
( ゚ω゚)「ちーん」
( ゚ω゚)「逃げた先にあのガキより速くつけばいいんだお!」
内藤の頭ではこれが限界だった。
- 30 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 02:09:05.09 ID:KZl70vemO
- ⊂ニニニ(#゚ω゚)ニニ⊃「ブーーン!」
内藤は鬼のような形相と凄まじい速さでゆっくりと確実に少年を追い詰めていった。
少年も石を投げたりして内藤の動きを止めようとするが、内藤が止まる様子はない。
⊂ニニニ(#゚ω゚)二二⊃「待つおー!」
運がよかったのか、内藤の気迫のせいか遂に内藤は一本道まで少年を追い詰めることに
成功した。
もう体格の差は関係ない。
内藤はただ一直線に走り、少年を捕まえればいいだけだ。
- 34 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 02:30:57.17 ID:KZl70vemO
- ⊂ニニニ(#゚ω゚)ニニ⊃「オオォォォ!」
内藤は訳の分からない叫び声をあげながら少年を追い掛ける。
少年も捕まるまいと全力で逃げる。
はたから見れば、変態が少年を追い掛けているようにしか見えなかったが、
両者にとってこれは自らの誇りを懸けた戦い。
まさに意地と意地のぶつかり合いだった。
両者とも考えていることは同じ。
ここで負けるわけにはいかない。
両者ともこの直線に全精力を注ぐ。
この直線で全てが決する。
はずだった。
- 38 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 02:49:42.02 ID:KZl70vemO
-
内藤は少年との距離を確実に詰めていく。
やはり、体格で劣る少年が内藤から逃げ切れるはずがなかった。
内藤があと少しで少年を捕らえられる距離まで近付く。
内藤が手を伸ばし、少年を捕まえようとした時だった。
少年が足を止めた。
内藤が伸ばした手は少年がいきなり止まったことにより、行き場を失い
それが内藤の身体のバランスに影響を及ぼした。
内藤は顔から地面にダイブする。
内藤は顔で地面を少し滑り、そのまま力なく倒れた。
- 40 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 03:03:01.20 ID:KZl70vemO
-
内藤はヨロヨロと立ち上がり、少年の方を向く。
(#^ω^)「さぁ、謝ってもらおうかお」
内藤は威圧的に少年に詰め寄るが、少年は内藤より向こうを見ている。
( ^ω^)「一体、何を見ているんだお?」
内藤は少年が見ている方角に目をやり、何があるか確認するが、緑の平原以外何も見えない。
( ^ω^)「草しかな……」
緑が動いた。
確かに平原の緑が動いていた。
内藤は真相を確かめようと目を細める。
(;^ω^)「あれは……スライム!?」
一匹や二匹ではない、大量のスライムが村へと押し寄せようとしていた。
- 43 名前: ◆vAq8uG9T0I :2006/09/11(月) 03:43:44.18 ID:KZl70vemO
-
(;^ω^)「ちょっwwwwギコ役立たナスwww」
内藤はギコへの文句を言いながら剣の柄に手を当てる。
(;^ω^)「村の人達にこのことを知らせるお!早く!」
内藤は少年にそう言うと少年は少しの間の後無言で頷き、村の中心へと駆けていった。
(;^ω^)「やれるだけ……やってみるしかないお」
内藤は剣の柄をしっかりと握り、鞘から剣を引き抜く。
妖しく紅に輝く刀身が露になる。
( ^ω^)「ウォォォォォ!」
内藤は恐れを払拭するかのように叫び、スライム達に向かっていった。
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