( ^ω^)ブーンが魔獣使いになるようです。
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 01:49:16.54 ID:yCbcAW6gO
- 魔獣
それは大いなる力
それは気高き狂気
それは世界の意思
それは大地を駆け
それは大空を飛び
それは大海を制す
自然すらもそれは支配し、敵には鋭き牙を向ける
しかし、その魔獣すらも支配してしまう者達がいた
魔獣使いである。
そして、その中でも強き者達はこう呼ばれていた
VIPPER、と
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 01:54:53.79 ID:yCbcAW6gO
- (;^ω^)「クッ、いくら減らしてもキリがないお。」
一人の青年がそう言って、緑色の液体の塊に剣を突き刺す。
剣を刺された塊はしばらく震えたかと思うと、液体が瞬間的に消滅し、
小さな肉の塊だけを残した。
しかし、この青年の周りにはまだ沢山の塊が控えている。
(;^ω^)「童貞を捨てるまで死ぬわけにはいかないお!」
そう叫びながら、青年は塊達に向かって走って行く。
一匹、二匹と切り捨てていくが、一向に数が減る気配はない。
そして、一匹の塊に向けて剣を降り下ろそうとした時だった。
- 9 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 01:58:15.43 ID:yCbcAW6gO
-
ヒュン
その音と共に塊が剣に飛び付いてくる。
(;^ω^)「なっ!?」
塊が剣を伴い、地面に着地し、嫌な音を立てる。
(;^ω^)「本当にジエンドだお。」
武器を失った敵に向かい、塊達はジリジリと近付いていく。
そして、一匹の塊が青年に背後から襲いかかった。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 02:03:06.30 ID:yCbcAW6gO
-
しかし、塊の攻撃が青年に届くことはなかった。
球体の炎が塊に直撃したからだ。
( ^ω^)「い、一体なんだお?」
ざわめく塊達と状況を理解出来ない青年をよそに炎は続々と飛んでくる。
「危ない所だったな、ゴルァハハハ」
突如、豪快な笑い声が辺りに響く。
( ,,゚Д゚)「スマン、スマン。遅くなったぞゴルァ」
その男は体を炎に包まれた犬のようなものに乗ってこちらへ駆けて来る。
( ,,゚Д゚)「焼き払えゴルァ」
そう男が言うと、犬のようなものが連続で炎を吐く。
その炎は青年を避け、確実に塊達に直撃していく。
(;^ω^)「燃えてやがる。」
塊達は一瞬にして、三匹まで減らされてしまった。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 02:12:07.08 ID:yCbcAW6gO
- ( ,,゚Д゚)「よし、最後の仕上げだゴルァ」
その指示を受け 犬のようなものは跳躍し、一匹の塊を踏みつける。
踏みつけられた塊はジュッという音と共に蒸発した。
それをよそに犬は再び跳躍し、空中から炎の二連撃を放つ。
爆音が響き、煙が辺りに立ち込める。
煙が晴れると、青年の周りにはもう焦げた地面しか残っていなかった。
炎は何もかも消し去ってしまったのだ。
( ,,゚Д゚)「危ない所だったなゴルァ」
男が犬から降り、青年に話しかける。
しかし、青年は応えようとはしない。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 02:20:36.50 ID:yCbcAW6gO
- ( ,,゚Д゚)「どうしたんだゴルァ。腹でも痛いのか?」
そう心配した男に青年は突如、鬼気迫る顔で殴りかかった。
だが、戦闘で消耗した体でその拳が届くはずはなかった。
( ,,゚Д゚)「い、いきなりなんだゴルァ。」
( ;ω;)「あんたのせいで死ぬ思いをしたんだお。死んでいたかもしれなかったんだお。
ヒック、ヒック、オーーーン」
青年が奇妙な声を出して泣き始める。
( ,,゚Д゚)「スマンカッタ、本当にスマンカッタから。飴やるから泣くなよゴルァ。」
男が必死に青年をなだめるが、青年はまだ泣いている。
青年は考えたいた。
何故、あの時この男を襲おうとしたのだろう?
何故、ここまでついてきたのだろう?
何故、魔獣使いになんてなろうと思ったのだろう?と
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 02:43:21.97 ID:yCbcAW6gO
- ここは大陸VIP
草原、ジャングル、荒れ地、砂漠など様々な土地を有し、多種多様な生命を育む大地
そして、この大陸の中央に位置するのが
中央都市イルフェナ
交通の要所であり、多くの人々が行き交う商業都市である。
魔獣使いギルドなるものの本部があり、その簡素ながらも壮大な建築物は街の名所でもある。
物語はこの建物の一室から始まるのであった。
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 02:48:47.85 ID:yCbcAW6gO
- 「内藤君?ここが気持ち良いの?」
(*^ω^)「おっおっ、気持ち良いお」
「良かったわ、内藤君が気持ち良くなってくれて……」
(*^ω^)「あっ、急に……大胆だお……そこは……らめぇwwwwwwww」
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 03:04:34.37 ID:yCbcAW6gO
- 「151番!」
試験会場であろう静かだった空間に突如、怒号が飛ぶ。
緑で統一された服を着た人間が発したものだった。
おそらく、試験官だろう。
周りに座っている人間達は迷惑そうに怒号の対象へと目を向けている。
「151番!」
再び怒号が部屋中に響く。
しかし、これだけの大声を耳元で聞かされても151番と呼ばれた人間は
すやすやと寝息を立てている。
(*´ω`)「むにゃむにゃ……らめぇwwwwww」
その言葉を聞いた試験官の頭から何かが切れる音がした。
試験官は額に何本もの筋を作り、その拳を振り上げたまま静止する。
背後には仁王像のようなスタンドが出現していた。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 03:17:16.32 ID:yCbcAW6gO
- ( ゚ω゚)「ハッ……殺気!?」
151番は即座に目を覚まし、後ろに飛び退く。
と同時に、今まで頭があった場所に拳が降り下ろされ、机がVの字型に
割れる。
周りには既に人はおらず、離れた場所でことの成り行きを見守っていた。
「らめぇとは随分良い夢見てたようじゃねぇか」
試験官が拳をバキバキと鳴らしながら、151番に近付いていく。
(;^ω^)「ははは……先生、後ろにスタンドが出てきてますよ」
151番は苦笑しながら、試験官の後ろを指差す。
「ほぅ、じゃあお前で試し打ちさせてもらうか」
試験官はゆっくりと151番との距離を詰めていく。
151番は既に壁際まで追い詰められている。
(;^ω^)「こうなったら……『ザ・ワールド』」
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 03:41:16.96 ID:yCbcAW6gO
- 確かに時は止まっていた。
周りの人間達は唖然とした顔のまま動かない。
試験官も憐れみを含んだ目でこちらを見たまま動かない。
正確には場の空気が固まっただけなのだが。
( ^ω^)(今の内に逃げるお)
⊂二二( ^ω^)二⊃「ブーーーン」
151番は両手を広げ、素早く出口へと駆ける。
しかし、世の中甘くない。
ガシッという音と共に151番の頭が掴まれ、体が宙に浮く。
151番は腕と足を振り回すが頭から手が離れる気配はない。
「何か言い残したことは?」
試験官が151番に訪ねる。
(;^ω^)「超スピードとかそんなチャチなもんじゃねぇ。もっと恐ろしいものの片鱗を……」
「長すぎ」
その一言と共に試験官は151に痛恨の一撃(アッパー)を放った。
( ゚ω゚)「アッーーー!」
そんな叫び声と共に151番は宙を舞った。
芸術的な吹っ飛び方だった。
- 32 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 03:59:18.73 ID:yCbcAW6gO
- 少し場所を移して、ここはイルフェナの大通り。
道を行き交う人々の顔には希望が溢れており、道の両端の露店からは
陽気な声が絶え間なく聞こえてくる。
それ故、この大通りは希望の道、太陽の道などと呼ばれている。
しかし、そこに明らかに場違いな存在が一つあった。
( ´ω`)「ハァ……この先どうすればいいんだお」
一人の青年がトボトボと歩きながら大きなため息をつく。
青年の周りには確実に人を不快にさせるオーラが漂っていただろう。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 04:06:42.26 ID:yCbcAW6gO
-
( ´ω`)「魔獣使いになってに楽させてあげる、と言った手前、村には帰れないお」
魔獣使いは魔獣同士を戦い、競わせる大闘技会。
魔獣を使っての人に害をなす魔獣の討伐。
希少な魔獣を捕獲、または幼体を競売に出すオークション。
これらをすることができ、どれも高額の現金をほぼ手に入れる出来るので
魔獣使いになろうとする者は後を絶たない。
そして、この青年もそんな中の一人である。
ちなみに、この青年にはもう一つ魔獣使いになりたい理由があるのだが、
それはまた別の機会にでも……
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 04:09:04.93 ID:yCbcAW6gO
- ( ´ω`)「筆記試験があるなんて聞いてないお。ハァ……」
しかし、魔獣使いになるには国が行う試験を無事パスしなくてはならなく、
魔獣使いになる者にとって恐ろしく巨大な壁としてそれは立ち塞がっていた。
( ´ω`)「このままのたれ死んでしまうのかお。」
仕事を探せば良いことなのだが、今のこの青年の心境では無理なことだった。
( ^ω^)「ああ、空が綺麗だお。あ、鳥さんだお。アハハハハーだお。」
どうやら、末期のようだ。
このままでは彼は死んでしまうかもしれない。
- 35 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 04:19:09.68 ID:yCbcAW6gO
- そんな彼が空から大地へと視線を移したとき、彼の目にあるものが映った。
太陽の光を浴び、キラキラと輝くもの。
VIPPERバッジだ。
( ^ω^)(あれは確か魔獣使いの証……)
ギルド本部にあった見本を偶然覚えていたのだ。
そのバッジを付けた男が、今まさに人気のなさそうな路地裏に入ろうとしている。
( ^ω^)「あのバッジを手に入れられれば……」
そう呟き、彼はその男の後を気付かれないように追っていった。
しかし、このバッジが与えられるのは『強者』のみだという説明を
彼が覚えているはずはなかった。
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/21(月) 04:27:35.49 ID:yCbcAW6gO
- 「クソッ、あの野郎あからさまな嫌がらせをしてきやがって。」
そう言って男は壁を蹴りつけると、壁がパラパラと崩れた
( ^ω^)(こ、怖いお。でも、ここでアイツを倒してバッジを奪えれば……)
彼の顔を冷や汗が伝う。
拳を手のひらを貫かんばかりに強く握る。
(;^ω^)(筆記は苦手だけど、力、体力だけならきっと)
そう自分に言い聞かせるように深呼吸をし、拳を文句を言っている男へ向け突き出した。
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