(,,゚Д゚)ギコがやんなっちゃったようです
- 1 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 01:44:49.26 ID:zCrZjn920
- (;゚Д゚)「ふぅ……これで全員、か……」
暗い路地で、ギコと言う男はそう呟いた。
ギコの足元には、何人もの人間が倒れている。
全てギコが倒した人間だった。
もちろん、ギコも無傷ではない。
腕や肩、顔にも腹にも切り傷やあざがある。
今出来た物だけではない。
昔からある物もある。
(;゚Д゚)「……さて、今日はどこで夜を過ごそうか……」
ギコはヤクザから抜けた人間だった。
暴力を振るって生きる世界には、もう散々だった。
だから、家には帰れない。
ホテルに泊まるにしても、見付かったら……。
(;゚Д゚)「……チッ。 あぁ、もう捕まっちまおうかな……」
逃げるのにも疲れたし、俺には守る物は無い、とギコは呟く。
とりあえず、歩きながら考えよう。
この場に留まると、いつまた組の者が来るかも分からない。
- 2 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 01:47:57.97 ID:zCrZjn920
- 夜の街は、ネオンが眼に眩しい。
人が多いから、ここならそうそう捕まらないだろう。
ギコは煙草を口にくわえた。
銀色に輝くジッポを取り出し、煙草に火をつける。
(,,゚Д゚)「ふぅ…さて、この後どうするかなぁ…」
ホテルに泊まるなら、この辺のホテルじゃない方が良いかな、と1人呟く。
考えが詰まる。
煙草の煙を吸い―――。
(;゚Д゚)「がっ……」
血と共に、煙を吐いた。
煙草が口から落ちる。
ギコの腹に、ドスが刺さっていた。
('A`)「よぅ、ギコ……さぁ、おやすみの時間だz」
- 4 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 01:52:42.57 ID:zCrZjn920
- そう言う男の頬を、ギコは全力で殴り飛ばした。
そして、走り出す。
心臓の鼓動と共に、腹から血が噴き出す。
(;゚Д゚)「グッ…もう見付かったか…」
捕まりたくない。
ギコはそれ以外、何も考えずに走り続けた。
だが、やがて足が止まった。
壁に背中を預ける。
血が足りないのか。
幸い、追っ手はまけたようだ。
- 6 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 01:57:36.20 ID:zCrZjn920
- (;゚Д゚)「こんなとこで…終わっちまうのか」
そして、腰を落とした。
眼を閉じる。
誰かに、肩を掴まれた。
終わりだな、と思った。
何か言ってるが…良く聞こえない。
「ねぇ、大丈夫!?ねぇ!?」
女の……声?
(;゚ー゚)「ねぇ!ねぇ!大丈夫!?」
その言葉を最期に、ギコは意識を失った。
- 8 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:01:05.33 ID:zCrZjn920
- ギコが眼を覚ますと、白いベッドの上に寝ていた。
そこはシンプルな、白い家だった。
腹には、白い包帯。
(;゚Д゚)「あれ?どこだ…ここ」
体を起こそうとする。
鋭い痛みが腹に走った。
「あぁ!起きたのね!良かったぁ…!」
誰かの声が、ギコの耳に聞こえた。
その方向に、視線を持っていく。
(*゚ー゚)「あぁ、まだ起きちゃダメよ」
意識を失う時にギコの目の前にいた女だった。
- 11 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:02:54.30 ID:zCrZjn920
- (;゚Д゚)「え?誰だアンタ…俺は…」
(*゚ー゚)「私はしぃ。君がお腹からすごい出血していたから、助けちゃった」
(;゚Д゚)「え……?」
(*゚ー゚)「君、2日間も寝ていたのよ。出血のせいかしら」
(;゚Д゚)「……ちょっと、聞いて良いか?」
(*゚ー゚)「え?」
(,,゚Д゚)「何故、俺を助けた?」
(*゚ー゚)「……助けたくなっちゃったから」
しぃは、幸せそうにそう言った。
何が嬉しいのか、ギコには分からなかった。
(*゚ー゚)「生きてて良かったねぇ……」
(;゚Д゚)「…めんどくさい事になると、思わなかったのか?」
(*゚ー゚)「うーんと……そこまで考えてなかったよ。君が死にそうだったから、助けた。それだけ」
(,,゚Д゚)「…………………………」
ギコは、優しい女だなと思った。
ただ純粋に、他の何の意思も入らなかった。
好きだと、思った。
- 12 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:07:37.81 ID:zCrZjn920
- (*゚ー゚)「それよりもさ、君、名前は?」
(,,゚Д゚)「……ギコ」
(*゚ー゚)「ギコ君、ね。良い名前じゃない」
(,,゚Д゚)「……アンタ……」
(*゚ー゚)「うん?」
その時。
ドアが強く開いた。
('A`)「よぅ…ギコ」
その声と共に、組の人間が3人現れた。
(;゚Д゚)「チッ……来たか」
('A`)「かわいい嬢ちゃんも一緒かぁ…良い身分だな。えぇ…ギコ?」
(,,゚Д゚)「ドクオ……」
('A`)「俺をおいて組を抜けるなんてよ…ひどいよな、お前。 そんなもんだった訳だ、俺とお前の縁は」
(;゚Д゚)「違うっ!…俺は…ただ…」
('A`)「言い訳は聞きたくねぇな」
そう言って、ドクオはギコの腹を殴った。
- 14 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:11:20.99 ID:zCrZjn920
- (;゚Д゚)「えほっ………!」
('A`)「オイ、お前等。アジトに、あの女を連れて行け」
(;゚Д゚)「!?」
ドクオがそう言うと、男3人がしぃに向かって行った。
(;゚ー゚)「やめてっ!やめてよ、ねぇっ!」
その声も聞かず、男達はしぃを連れて行った。
(;゚Д゚)「しぃっ!」
('A`)「おっと…お前の相手は俺だよ」
そう言って、ドクオはギコの腹を狙って蹴りを繰り出してきた。
ギリギリで、ギコはそれをガードする。
- 15 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:12:43.35 ID:zCrZjn920
- そして。
カウンターでドクオの腹に、全力で拳をねじ込む。
(;'A`)「ぐぁっ………!!」
そう唸って、ドクオは倒れた。
(,,゚Д゚)「それで当分は動けないな……じゃあな、ドクオ」
そう言って、ギコは走り出した。
向かう先は、自分が所属していた組のアジト。
('A`)「ギコ………!!」
1人、白い家の床に倒れたドクオは、憎々しくそう呟いていた。
- 18 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:18:12.72 ID:zCrZjn920
-
ギコは、その家から直線的にアジトに向かう事にした。
1秒でも早く、しぃを助けたいが為だった。
途中何人も組の者がいたが、ギコは全てを一撃で沈めていた。
やがて、ギコはアジトの前に辿り着く。
アジトは、4階建てのかなり小さなビル。
もう既に、息は上がりきっていた。
それでもほとんど足を止めずに、ギコはビル内に足を踏み入れる。
すぐに男が3人、ドスを持って襲いかかってきた。
(,,゚Д゚)「フン」
ギコはそう言って、1人にハイキックをする。
綺麗に決まり、その男は意識を失った。
右肩に、鋭い痛みが走る。
ドスが突き立てられていた。
そのドスを持っている男を、ギコは裏拳で沈める。
最後の1人は、右頬にストレートを決めた。
吹き飛んで、男は意識を失う。
- 20 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:18:49.91 ID:zCrZjn920
- (,,゚Д゚)「…しぃ」
そう呟いて、エレベータに乗る。
4階のボタンを押して、ドアを閉じる。
この空気に似合わない、静かな空気が訪れた。
少し、考えてみる。
自分は何をしていたのか。
自分は何故逃げたのか。
自分は何故しぃを好きになったのか。
何故、ここまでして、しぃを救おうとしているのか。
自分は、ヤクザだった。
何故ヤクザになったのかは憶えていない。
ドクオと一緒に組に入って、ドクオと一緒に地位を上げていった。
力がある自分は、主に他の組との抗争の時に活躍した。
「戦闘神」とか、「一撃のギコ」、「豹」とも呼ばれた。
…そこまで来て、何故逃げたのか?
暴力の世界から逃げたかった。
自分が思っていた以上にその世界は醜く、苦しく、虚ろだった。
だから、逃げた。
- 22 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:26:07.25 ID:zCrZjn920
- 何故しぃを好きになったのか?
優しかった。
普通、腹から血を流してる傷だらけの男など、誰も救わないだろう。
だけど。
だけど、彼女は。
自分を、救った。
この、どうしようもない自分を……救ってくれた。
だから、自分もここまで来ているのだろう。
礼を言う為に。
想いを伝える為に。
その時、ポーンと音が鳴った。
到着の合図だった。
(,,゚Д゚)「さぁ…全てに蹴りをつけるか」
- 23 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:30:01.42 ID:zCrZjn920
- ドアが開く。
それと同時に、5人の男達が襲いかかってきた。
男達の攻撃を避け、受け、返す。
ギコは男達のアゴや鼻の下、みぞおちへ一撃を加える。
そして、全ては一撃で終わる。
すぐに5人は意識の無い殻へと姿を変えた。
次の敵に備えて、ギコは構えを崩さない。
だが、次の敵は現れない。
いや、いるが襲いかかってこなかった。
('A`)「よぅ、ギコ。遅かったな」
ドクオが、そう言った。
ドクオの足元には、数人の男が倒れていた。
(,,゚Д゚)「ドクオ……」
('A`)「俺がお前と戦るから退いてろっつったら殴りかかってきたんでね。眠ってもらった」
(,,゚Д゚)「………………………」
('A`)「さぁ、蹴りをつけよう。俺が死んでお前が幸せになるのか、お前が死んで俺がのし上がるのか」
(,,゚Д゚)「……良いだろう」
そうして、ギコは構え直す。
- 25 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:36:26.68 ID:zCrZjn920
- ('A`)「らぁぁぁぁ!!」
そう叫んで、ドクオはギコに殴りかかる。
ギコはそれをガードし、アゴを狙って腕を伸ばす。
だが。
('A`)「狙う場所が一定なんだよ」
そう言って、ドクオはギコの腹に膝をねじ込んだ。
(;゚Д゚)「がっ……!」
そう唸ってギコは体を折る。
そして、ドクオはギコの背中に……ドスを、突き立てた。
( ゚Д゚)「――――――――――」
そして、まもなくギコはうつぶせに倒れた。
息を乱らせて倒れているギコの背中に、ドクオは言う。
('A`)「終わりだな、ギコ」
- 27 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:39:56.10 ID:zCrZjn920
- まだだ。
まだ終わってない。
まだお前を倒してない。
まだしぃを助けていない。
まだだ。
(;'A`)「なっ…!」
ギコが立ち上がる。
背中のドスを引き抜いて、放り投げる。
背中から血が噴き出すのが分かった。
そして、驚くドクオの腹にストレートをねじ込んだ。
(;'A`)「あっ…はっ…!」
そうして、ドクオは倒れた。
( ゚Д゚)「俺はまだ終われないんだよ………」
そう吐き捨てると、ギコは歩みを進めた。
4階のフロアの奥に、1つのドアある。
そのドアの向こうが、ボス…ジョルジュの部屋。
- 28 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:43:40.72 ID:zCrZjn920
- そこで一瞬、ギコはめまいがした。
ドアノブを回す。
そしてゆっくりと開く。
大きな部屋。
トラの皮が床に絨毯の代わりに敷かれている。
部屋の奥には茶色いテーブル。
そして茶色い回転椅子に座っている、にやけた男。
それがジョルジュだった。
部屋を見まわすと、ソファにしぃが座っていた。
腕と足が縛り付けられていた。
(;゚ー゚)「ギコ君!」
(,,゚Д゚)「無事だったか…!」
そう言うと、ギコはしぃに駆け寄る。
そしてすぐに縄を解いた。
縄が解かれるや否や、しぃはギコに抱きついて来た。
(;゚ー゚)「ぅぁー。恐かったよー」
緊張感ゼロの話し方。
- 30 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:47:19.55 ID:zCrZjn920
- (,,゚Д゚)「……ごめんな、しぃ」
初めて名前を呼んだ。
どきどきした。
いつぶりだろうか。
(,,゚Д゚)「……今、終わらせるから、ちょっと待っててくれ」
そう言って、ギコはしぃの腕を解いた。
顔を上げる。
ジョルジュを睨んだ。
またも、頭がくらっとした。
( ゚∀゚)「話は終わったか、ギコ?」
(,,゚Д゚)「ボス……」
( ゚∀゚)「もうボスではないだろう?ククク……」
(,,゚Д゚)「……さて、どうするんです?戦いますか?」
( ゚∀゚)「おいおいおい、冗談だろう!?俺はお前みたいな化け物と戦う気はないよ!」
(,,゚Д゚)「…じゃあ帰っても良いと?」
( ゚∀゚)「それは俺じゃなく、ドクオに聞くんだな」
そして、ジョルジュはもう一度微笑む。
- 33 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:53:08.58 ID:zCrZjn920
- ( ゚∀゚)「お前が抜けてもウチの組の力は衰えない。それにお前を止めようとする事で命を落とす羽目になるのなら…お前を止めようとは思わないよ」
(,,゚Д゚)「でもドクオは黙らせました」
( ゚∀゚)「じゃあお前の後ろにいる男は誰だね?」
ギコが振り返る。
そこには、ドクオがいた。
('A`)「よぅ、ギコ。さっき殺しておくべきだったなぁ」
(,,゚Д゚)「ドクオ……」
('A`)「俺はお前を帰すわけにはいかない」
(,,゚Д゚)「………」
('A`)「お前だけ幸せになんて許せない…いや、違う」
(,,゚Д゚)「はん?」
('∀`)「俺はただ単純に、お前と戦いたかったんだ」
そう言って、ドクオは走り出した。
('A`)「昔から仲の良かったお前。昔から何においてもライバルだったお前!!」
そう叫びながら、ドクオはギコにハイキックする。
ギリギリの所で、ギコはその足を掌で止めた。
('A`)「お前を倒したい、お前に勝ちたい!!」
- 34 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 02:56:11.64 ID:zCrZjn920
- ドクオは攻撃の勢いを緩めない。
それどころか勢いを上げた。
ハイキックしたその足を、ギコの横っ腹に打ち込む。
ギコは唸って、地面を転がる。
すぐに立ち上がろうとして………。
ギコは、再度床に倒れた。
背中が熱い。
触れてみた。
べっとりとした感覚。
手を見てみた。
紅い。
真っ赤だ。
転がった床を見てみる。
紅い。
紅い。
紅い。
何だか眠い。
- 36 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:01:34.30 ID:zCrZjn920
- 「―――ん」
何かが聞こえた。
「―――こ―ん」
何を言っているのか分からない。
「―――コ君」
「―――ギコ君!!」
しぃ…!!
('A`)「……出血多量、か」
そう言って、ドクオは動かなくなったギコを足で突つく。
その時。
ギコが勢い良く立ち上がった。
(;'A`)「うぉっ!」
- 37 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:04:59.35 ID:zCrZjn920
- そう言って、ドクオがギコから離れた。
ギコはドクオに息もつかせない内にドクオに走り寄る。
そして、ドクオの顔を目掛けてストレートを放つ。
(;'A`)「危ねぇっ……!」
ドクオはそれを顔をずらして避けた。
だが、ドクオの頬が一文字に裂けた。
血が噴き出す。
(;'A`)「なっ……拳圧で頬が裂けるだと!?ありえn」
そう言うドクオの腹に、ギコの拳がめり込んだ。
みしみしと骨がきしむ音が聞こえて。
折れる音がした。
ドクオは吹き飛ぶ。
床を転がり、血を吐いた。
(;'A`)「えはっ…!」
桜の華の様に…舞い上がる血。
骨が内臓を傷付けたのだろう。
- 38 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:08:57.43 ID:zCrZjn920
- ギコは止まらない。
ドクオの目の前まで来て。
拳を振り上げて……。
その場に、倒れた。
目の前が…真っ白になる。
何も聞こえない。
何も見えない。
何も…感じない。
ただ、寒い。
すごく寒くて…眠い。
すごく、眠い。
しぃはもう大丈夫。
やりたい事はやった。
もう…眠っても…良いだろう。
そう思ってギコは……眼を閉じた。
その顔は…笑っていた。
(;゚ー゚)「ギコ君ーーーーっ!!!」
しぃの悲痛な声も、もうギコには届かなかった。
- 41 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:25:14.01 ID:zCrZjn920
- ―――暖かい。
眼を開いてみる。
真っ白い天井が目に移った。
ここが地獄か。
寝ている場所がベッド…地獄にもベッドはあるのか。
(,,゚Д゚)「……地獄ってのも、思っていたのより結構普通だな」
そう言うギコは、腹が重い事に気付いた。
そこに目をやる。
しぃがいた。
ベッドの横の椅子に座って、上半身をギコの腹に預けていた。
あれ?
ここは病室か?
たまらず、ギコは上半身を起こした。
日の光が差し込む病室だった。
- 43 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:30:32.85 ID:zCrZjn920
- (;゚Д゚)「…え?はぁん?」
「おぉ…眼を覚ましたか、ギコ」
その声の方向に眼をやる。
病室のドアの辺りに、ジョルジュとドクオがいた。
ギコは腹にコルセットのような物を巻いていた。
( ゚∀゚)「おはよう、ギコ。どうだ?丸三日間爆睡した気分は」
('A`)「よぅ、ギコ」
(,,゚Д゚)「…ボス、ドクオ…」
( ゚∀゚)「だからもうボスじゃないって」
('A`)「フン…本当にお前は死なねぇなぁ……あんだけ血を亡くしといて、何で生きてるんだよ……」
あぁ…。
俺、生きてたんだ。
ようやく、ギコはそう思った。
- 44 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:34:50.56 ID:zCrZjn920
- (,,゚Д゚)「…フン。アレくらいで死んでたまるか。それよりも、お前、何だそのコルセットは」
('A`)「てめぇが折ったんだろバカ。ここに来るのも無理してやってんだぞ」
(,,゚Д゚)「じゃあ来んなよバカ」
(;゚∀゚)「お前ら、口ででも喧嘩したいか」
(,,゚Д゚)「あ、ボスは何故……」
( ゚∀゚)「ボスじゃないと言ってるのに…まぁ良い。私が友人を見舞いに来てはいかんか?」
(,,゚Д゚)「あ、いや……」
その時。
ギコの腹の辺りで、ぅん?という声が聞こえた。
しぃが起きたのだ。
ギコはそこに目をやる。
目が合った。
ぱちくりと、驚いてるような、大きな眼。
そして。
- 45 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:44:33.73 ID:zCrZjn920
- (*゚ー゚)「ギ…コ、君?」
(,,゚Д゚)「あぁ、おはよう。しぃ」
(*゚ー゚)「ギコ君っ!」
そう言って、しぃはギコに抱きついた。
今更だが、恥ずかしい。
でも、嬉しい。
(*゚ー゚)「…生きてたんだ…良かったぁー…」
(,,゚Д゚)「…しぃ」
自分も抱き締めながら、言う。
1番言いたかった事を。
(*゚ー゚)「ぅん?」
(,,゚Д゚)「ありがとう。愛してる」
そう言って、一層強く抱き締めた。
しぃはそれに「うふふ」と笑うと。
(*゚ー゚)「私もだよ、ギコ君。だーい好き」
- 48 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:51:48.89 ID:zCrZjn920
- そして。
体を離して。
キスをした。
( ゚∀゚)「クククッ……こんな良い所、見逃してたまるか」
('∀`)「ギコ……」
そして。
口を離した時には、ギコは真っ赤だった。
('∀`)「おーおー、見せ付けてくれちゃってよ」
( ゚∀゚)「クククッ。どうだい、キスの味は?クククッ…」
(*゚Д゚)「うるせぇ!」
(*゚ー゚)「アハハハハハ!」
そして。
4人の笑い声が、病室に響いた。
数分後。
( ゚∀゚)「よし、じゃあ2人だけの世界にしてやるとするか」
('∀`)「病院でギシアンすんなよ」
(;゚Д゚)「するか馬鹿!死ね!」
( ゚∀゚)「クククッ……じゃあな、ギコ」
そう言って、ジョルジュとドクオはドアの向こうに消えた。
- 51 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:55:38.78 ID:zCrZjn920
- ドクオはまだ絶対安静の状態だった。
ドクオの病室で、ジョルジュとドクオは話し合う。
('A`)「ボス…見たい物も見れたし、じゃあ、俺…逝きます」
( ゚∀゚)「はあん?どこにだ?」
('A`)「ギコとも戦えたし、ギコは幸せになれたし…死にますよ」
( ゚∀゚)「何でそうなる」
('A`)「正直…俺もこの世界には疲れてたんですよ」
そう言って、ドクオはどこからか銃を取り出した。
それをこみかみに当てる。
('A`)「だから、死にまs」
(#゚∀゚)「馬鹿かてめぇ!」
そう叫んで、ジョルジュはその銃を蹴り落とした。
(#゚∀゚)「だったらお前もこの世界から抜けて、幸せになれば良いじゃねぇか、おぉ!?」
- 52 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:57:01.68 ID:zCrZjn920
- そう言って、ジョルジュはドクオをビンタした。
(#゚∀゚)「良いな、お前も幸せになれ。さもないと殺すぞ!じゃあな!」
そう言って、ジョルジュは病室から消えた。
1人病室に残されたドクオは、笑いながら呟いた。
('∀`)「本当にあの人は……OK、幸せになってやるよ」
幸せそうな笑顔だった。
ギコも、ドクオも、しぃも。
3人とも、笑っていた。
- 53 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/08/27(日) 03:57:51.64 ID:zCrZjn920
- お し ま い
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