( ,,ﾟДﾟ) 「どんな願いでも叶えるという伝説の観音像があるというのはこの村か」
(*ﾟーﾟ) 「もう随分暗くなっちゃったけど、真っ暗になる前にたどり着けて良かったね」
( ,,ﾟДﾟ) 「辺境は未だに山賊が出没するという話だからな……おっと、あそこに人がいるぞ」
(*ﾟーﾟ) 「話を聞くついでに、宿があるかどうかも聞いてみようよ」
( ,,ﾟДﾟ) 「了解したぞｺﾞﾙｧ……おい、そこの女」
('、`*川 「はぁ、なんだあんたたつ、旅のお方かね」
( ,,ﾟДﾟ) 「おうよ。ちょっと聞きたいことがあるんだが」
('、`*川 「はぁ、なんだね、わだすでわがることだら」
( ,,ﾟДﾟ) 「この村の名前を教えて欲しい」
('、`*川 「はぁ、びんぐ村だけんども」
( ,,ﾟДﾟ) 「……！」
(*ﾟーﾟ) 「ま、間違いないわ、やっぱりここがビング村！」
('、`*川 「はぁ、それがどしたんかね」
( ,,ﾟДﾟ) 「た、頼む、観音様を拝ませてくれんか！」
('、`*川 「か、かんのんさまだっぺか……そげんこついきなし言われても……」
( ,,ﾟДﾟ) 「頼む、この通りだ！ どうか、どうか！」
('、`*川 「はぁ……したら、オラさうぢに泊まりなされ」
(*ﾟーﾟ) 「……もう夜も更けてきたし、仕方ないわね。お願いしましょう」
( ,,ﾟДﾟ) 「そうか、じゃあありがたく泊まらせていただくぞｺﾞﾙｧ」
('、`*川 「さ、あんたはこっち、そっちのあんたはあっちに寝床作ったでよ」
(*ﾟーﾟ) 「あら、別々の部屋なのね。一緒で構わなかったのに」
( ,,ﾟДﾟ) 「まあ久々の布団だ、俺は眠れればどこでも構わん」
(*ﾟーﾟ) 「じゃあお休みなさい、ギコ。明日が楽しみね」
( ,,ﾟДﾟ) 「おう、お互いゆっくり体を休めて明日に備えるぞｺﾞﾙｧ」
( ,,-Д-) 「グゴー、グゴー……」
('、`*川 「……あんたさん、あんたさん」
( ,,-Дﾟ) 「……ん……何だ、あんたか……こんな夜中に何の用だ」
('、`*川 「まあったそげんこつ言って、あんたさんが言うたことじゃろうがね」
( ,,ﾟДﾟ) 「……？ 俺は何も言った覚えがないぞｺﾞﾙｧ」
('、`*川 「そったら風に恥ずかしがらんで……ほれ」
( ；ﾟДﾟ) 「！？ ちょ、ちょ……何いきなり服を脱ぎ始めてんだｺﾞﾙｧ！！！」
('、`*川 「ほれ、あんたさんが見たいっちゅーとった観音様じゃ」
( ；ﾟДﾟ) 「バ、バカ言うんじゃねえぞ！！ 誰が（ﾋﾟｰｰ）を見たいと言ったー！！！！！」
(*-＿ﾟ) 「ギコ……こんな夜中に大声上げてどうした……の……って！！」
(；；ﾟДﾟ) 「し、しぃ……ち、違う、違うんだ、これは違うんだ……」
(#ﾟーﾟ) 「……問答無用。小便すませたか？ 神様にお祈りは？」
(；；ﾟДﾟ) 「ま、待て待て待て待て、待ってく……ぎゃああああああああああ！！！！！」
――――静かな静かな辺境の村の夜空に、ギコの悲鳴が響き渡る。
ギコは気付いていなかった。この村は辺境の中でも特に訛りと方言が強いということを。
ギコは理解していなかった。観音様という言葉は、この村の方言では女性器を意味することを。
ギコは分かっていなかった。標準語におけるこの村の名前が、ビップ村であることを。
ギコは知らなかった。本当のビング村は、ここより遥か遠い地方にあることを……。
〜お題：イントネーションが少し変で、言葉がなまってる村娘〜
おわり